骨盤臓器脱(子宮脱)& 女性肛門科 千葉県松戸市

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子宮脱/膀胱瘤

骨盤臓器脱手術のトラブル合併症、まとめてみた

 

骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。

 

骨盤臓器脱手術を受ける方がもっとも気にするのは、やっぱり「トラブル・合併症」についてじゃないかと思います。

 

私の手術成績について、詳しく解説してみます。

 

骨盤臓器脱手術の課題一覧です

↑これは、とある学会で発表したスライドの一部です。

 

骨盤臓器脱手術にはいろんな「解決すべき課題」がありまして、これまで2600例を超える手術経験の過程で、課題解決に全力を注いできました。

 

大半は克服できたのですが、まだ解決できてない課題もあります・・・

 

術中のトラブル

術中臓器損傷はここ1000例以上起こっていない

 

手術における臓器損傷(膀胱損傷、直腸損傷)は、2021年以来、直近1000例以上発生していません。

「臓器損傷はまず起こらない」と考えていいでしょう。

 

輸血を要する多量出血の可能性は500分の1以下

輸血を要するほどの、多量の出血を起こす確率は、500分の1以下です。

99.8%以上の方は、大丈夫ということですね。

 

多量出血の原因は、すべて「穿刺」です(靭帯に糸を通す操作)

 

ワタクシ現在、この「穿刺」方法の改良に、もっとも注力しています。

穿刺する場所、穿刺方法、いろいろ改善を重ねているところです。

 

臓器損傷みたいに、1000例以上ノートラブルになれば、完成と言えるでしょう。

気の長い話ではありますが、たぶん我々しかできないことなので、コツコツやっていきます・・・

 

直腸脱合併例は、軽症例のみ手がけている

 

子宮脱には時々、直腸脱を合併していることがあります。

初期には二回に分けて手術を行っていましたが、今はすべての症例で、同時に手術できるようになっています。

 

ただし私が手がける直腸脱手術(経肛門手術)は、軽症例に限定しています。

直腸脱がある程度大きい場合には、腹腔鏡手術の方が成績がいいので、腹腔鏡チームに依頼しているわけですね。

 

どれだけ重症の骨盤臓器脱でも治せる

子宮脱には、↑軽度(左)のものから重度(右)のものまで、いろいろあります。

 

かつては、重度子宮脱に対してTVM手術を行うと、アームがずれて再発することがありました。

(だから重度子宮脱には腹腔鏡手術を選択する施設もあります)

 

術式改良が進んだ結果、近年では重度の子宮脱であっても、経腟手術で再発なく治せるようになっています。

 

手術時間は1時間ちょっと。処理能力は大幅に向上

 

初期の骨盤臓器脱手術は、2時間半くらいかかっていました。

1日1件手術したら、集中力を使い果たして、その日は終了でした・・・

 

現在では手順が確立されて、1時間ちょっとで終わるようになっています。

(重症例や癒着の強い場合には、1時間半近くかかることもあります)

 

やろうと思えば、1日3件の骨盤臓器脱手術を行うことが可能です。

ワタクシ的には、1日3件の日々が続くと身が持たないので、原則2件(プラス小手術1件)にとどめています。

 

麻酔:今まで事故が起こったことは無い

あと、ここでは詳しく触れませんけど、麻酔の不安もありますよね。

「麻酔かけたらちゃんと目が覚めるの?」という不安に思ってる方が、時々いらっしゃるんです。

 

当院ではこれまで数千件の全身麻酔手術を行ってきましたが、麻酔の事故は一件も起こっていません。

 

術直後(術後数日間)のトラブル

術後出血はめったに起こらない

 

骨盤臓器脱の経腟手術では、術後出血はめったに起こりません。

 

たまにあるのが、手術翌日に止血ガーゼを抜いたあとに、こすれて出血するケースですね。

まあ、年に一人いるかいないか、と言う感じですね。

 

この場合ベッドサイドで止血を行えばOKです。麻酔も不要で短時間でできます。

 

一時的排尿異常はときどき起こるが、いずれ軽快する

 

術後はしばらく、おしっこの管(バルーンカテーテル)を留置して、膀胱を休めます。

この管を抜いた後に、しばらく排尿が落ち着かない人がいます。

↑手術で膀胱が刺激を受けて、こうなるわけですね。

 

軽度の排尿異常は、全体の1割くらいの方に起こります。これはいずれ落ち着いてきます。

 

年に数名ほど、バルーンカテーテルを抜いたあとに「尿が出にくい・なかなか出ない」という人がいます。

高齢者とか、排尿障害を起こす薬(過活動膀胱の薬、精神疾患の薬、消化管の蠕動を押さえる薬など)を飲んでる人とかで、もともと膀胱機能が弱い人に起こります。

この場合、原因となっている薬をしばらく止めて、バルーンカテーテルの留置期間を少し延長すれば、徐々に回復してきます。

 

術後は誰でも多少の痛みはあるが、必ず消失する。

 

これは個人差が大きいです。

まったく同じ手術を行っても、全然平気な人もいるし、痛がる人もいます。

 

術後の痛みは、痛み止めで対処可能です。

退院する頃にはほとんど軽快して、しばらくしたら全員消失します。

 

便秘は多くの人に起こるけど、いずれ元に戻る

 

術後トラブルの中で、圧倒的多数を占めるのが、この便秘です。

環境が変わって、寝ている時間が増えるので、術後は誰でも便秘気味になります。

 

全員にあらかじめ下剤を処方していますが、それでも便秘になる人がいますね。

まあ便秘しても、下剤を増やせば必ず解決するんですけどね。

 

・・・ということで、以上のように色々なトラブルがありますが

重大なトラブルはまず起こらず、98~99%の方はだいたい予定通りに退院できています。

 

中長期(術後数か月~数年)のトラブル

再発は1%程度

 

手術のやり方は、時代とともに少しずつ進化していきます。

現在のやり方(メッシュ無し子宮温存手術)を確立して、6年が経過しました。

 

この期間の再発率は、約1%です。

「再発はほとんどありません」と言っても、差し支えないでしょう。

 

メッシュトラブルは無関係の立場になった

現在ワタクシ、すべての骨盤臓器脱に対し、メッシュを使わない手術を行っています。

 

よって、↑メッシュ露出とか、メッシュ感染みたいなトラブルには、無関係の立場となりました。

 

性交障害は問題になったことはない

 

性生活を重視する人には、最初から腹腔鏡手術をおすすめしているので、性交障害で苦情をいただいたことはありません。

 

骨盤臓器脱手術のトラブル合併症まとめ

 

ということでまとめますと、↑このようになります。

人体相手の仕事だから、100%はあり得ないけれど・・・

12項目中9項目は、ほぼ克服できたと考えています。

 

残る課題は、「一時的排尿異常」「痛み」「便秘」の三つですね。

これらも時間とともに解決してくるので、ご容赦いただけたらと・・・

 

赤木一成 骨盤臓器脱外科医

 

 

 

 

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