おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の、赤木一成です。
今回は、「薬」と「持病」について、お話させていただきます。
よろしければ、お付き合いください。
よくある薬はだいたい問題ない
骨盤臓器脱手術を受ける患者さんが飲んでる薬で、よくあるのは・・・
- 高血圧
- 高脂血症
- 骨粗しょう症
- 消炎鎮痛剤&胃薬
このへんの薬です。
これらの薬は手術に影響ないので、これまで通り継続でOKです。
注意を要する薬
注意を要する薬の代表格は、以下の三つです。
抗血栓薬
抗血栓薬(血液サラサラの薬)を飲んでいる人の場合には、注意が必要です。
手術を行う際には、この薬をしばらく中止する必要があるんです。
そして抗血栓薬には、「中止してもまず問題ない薬」もあるし、「中止リスクがある薬」もあります。
「中止リスクがある薬」の場合には、薬の対処法について、主治医へ問合せの手紙を書きます。
たいていは、「中止してもOK」という返事がきますが・・・
たまに「ヘパリン化してください」という返事が来ることもあります。
この場合はやめに入院して、ヘパリンという「点滴の抗血栓薬」に変更して、手術に臨みます。
ステロイド
リウマチとかで処方されてるステロイドも、注意を要する薬です。
ステロイドを長期使用している人は、副腎機能が低下して、手術ストレスに弱くなっています。
この場合、手術の際に、注射のステロイド薬を補充する必要があります。
糖尿内服薬やインスリン注射
糖尿病の人は、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という値を見て、どうするか決めます。
7未満であれば、問題なく手術可能です。
いっぽう8を超えるケースでは、手術延期して、糖尿病治療を強化してもらいます。
手術を急ぐ場合には、早めに入院してインスリン強化療法を行ってから、手術に臨むこともあります。
そして7~8の間は、いろんな条件を考慮して、どうするか決めてます。
ワタクシ的には手術延期が理想なんだけど・・・
全員が「延期はイヤ」と言うんですよねえ(笑)
持病
よく問題になるのは、心臓の病気です。
虚血性心疾患とか、不整脈とか。
これらの疾患を有する人の場合には、主治医に問合せの手紙を書きます。
- 骨盤臓器脱手術を行う予定だけど、現在の状態はどうか。手術の際に注意することは無いか。
- 飲んでる薬(抗血栓薬とか)はどうしたらいいか。
そして、めったにないけれど
重度の持病があって、特別な管理(集中治療室〔ICU〕管理とか、人工透析とか)が必要となりそうな人の場合には・・・
中規模専門病院である当院では対応できないので、都内の基幹病院に紹介することもあります。
しかしながら
骨盤臓器脱や直腸脱の手術を日常的に行っており、
かつ集中治療や人工透析などの管理ができる病院
そんな病院ほぼ無いので・・・
ときどき困ることがあるんですよねえ(汗)
赤木一成
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科