数年に一度の試練そしてお仕置き。今週の骨盤臓器脱手術は7例。

お互い頑張ろうな・・・

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。

 

週末なので、「一週間の骨盤臓器脱手術記録」を書きます。

患者さんを特定できないよう配慮して、数週間前の日常を描写しています。

 

子宮脱膀胱瘤の手術を7例行いました。

この週は、子宮脱+膀胱瘤の手術を7例行いました。

 

この子宮脱や膀胱瘤の手術って、ほとんどの方はトラブル無く完了して、術後もほぼ予定通りに退院します。

入院期間が予定より大幅延長するような、大きなトラブルって、数年に1例くらいしかありません。

 

・・・そしてこの週、この「大きなトラブル」を経験したんです。

 

このブログは私の骨盤臓器脱診療活動のアーカイブでもあるので、患者さんに迷惑かからないよう配慮しつつ、起こったことは可能な限り記録しています。

 

術中の大きいトラブル

 

3年ぶり(約700例ぶり)に、術中の大きいトラブルを経験しました。

 

骨盤臓器脱手術を行う際には、術中術後に、いろいろな「起こりうる合併症」があります。

医者は必ず、手術の前に、患者さんにその説明を行っています。

今回は手術中に、この合併症のひとつが発生したんです。

 

私の場合、子宮脱膀胱瘤の手術は、だいたい1時間15分くらいで終わります。

癒着しているケースとか重症例とかでは、もっと時間がかかることもありますが、それでも1時間半を超えることはまれです。

 

でもこのケース、手術完了まで3時間以上かかりました。

途中で私だけでは対処が難しい局面があったので、他科の先生にも力を貸していただきました。

(当院では婦人科・泌尿器科・大腸肛門外科の3科が揃っているので、必要なときにはその道の専門家にお願いすることができるんです)

 

その後も頑張って、ようやく手術を完了しました。

最後まで付合ってくれたスタッフのみなさん、そして力を貸してくれた他科の先生に感謝したいと思います。

 

術後は、安静期間を長く保つ必要がありました。

そのため入院期間が長くなったけど、その後は大きなトラブル無く経過して、退院となりました。

 

苦境は成長するチャンス

 

トラブルに遭遇したら、そのままにしておいてはいけません。

改良できるポイントがなかったか、一生懸命考えて、成長のチャンスを見つけましょう。

 

それから数日間、ウンウン唸りつつ、手術手技の見直しとマニュアル改良に取り組みました。

改良できそうなポイントが見つかったので、フローチャートも久しぶりに更新です。

 

手術も大腸内視鏡もそうなんですけど、四半世紀にわたって延々とこんなこと続けています。

現役で手術を続ける限り、この作業から卒業することはないんだろうと思っています。

 

お仕置きされた・・・

私が手がける子宮脱膀胱瘤手術の場合、ほぼ全員(99.5%以上)が、大きなトラブルを起こさず安全に完了しています。

 

でも人体を扱う商売である以上、ごくまれにこういう試練に遭遇するんです。

 

ずーっとうまくいってて、「もうこの手術は大丈夫!なんでも来い!」とか思うようになったら、たまにこんな事態が起こります。

 

 

手術の神様から、「調子に乗るんじゃねえ」と、お仕置きされたんだろうと思ってます。

(変な表現かもしれないけど、ほんとにそう思ってるんです)

 

赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科