おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の、赤木一成です。
今回は、「骨盤臓器脱手術で、私が警戒する三つの要素」について、お話させていただきます。
よろしければ、お付き合いください。
警戒する三つの要素
それは・・・
- 肥満
- 重症
- 癒着
であります。
以下、ちょっと深掘りしてみます・・・
肥満
肥満の方は、手術がやりづらく、その分手術のリスクが高くなります。
手術部位が深い位置にあるから、視野が取りづらいし・・・
穿刺操作も深ーいところの作業を余儀なくされて、周囲から肉が迫ってやりづらいです。
さらに、肥満の人は腹圧が高いから・・・
術後に尿漏れ(腹圧性尿失禁)も起こりやすくなるし、
再発リスクもその分高くなります。
肥満ってなにひとつ、いいことが無いわけです。
だから、肥満の人には
「手術までに◯㎏やせましょう」(肥満度によって5㎏だったり10㎏だったり)
と言ってるんですけど・・・
だいたい、苦笑されて終わるんですよねえ(汗)
そして、実際に減量してきてくれる人は少ないんです。
私は優しいから?いいけど、当院には肥満にキビシイ先生もいますからね・・・
重症
重症の子宮脱では、膣壁が分厚くゴワゴワになっています。
こうなってると、膣壁を剥離(はがすこと)するのが大変で、出血量が多くなります。
癒着もしてるので(後述)、臓器損傷リスクも高くなります。
そして、固定もガッチリ行う必要があるから・・・
痛みもその分強くなります。
癒着
最後に、もっとも警戒を要するのは、この癒着です。
- 過去に子宮筋腫で子宮を取ってるとか
- 骨盤臓器脱手術を受けたけど再発したとか
- ずっと手術を避けてペッサリーで粘ってたとか
このようなケースでは、誰でも多少の癒着が生じます。
そして癒着があると出血が多くなり
剥離(はがすこと)操作も難しく・・・最悪臓器を損傷します。
この三つを兼ね備えている人もいます・・・
これらの悪条件(失礼)をすべて兼ね備えている人、たまーにいらっしゃいます。
高度の肥満で、
過去に子宮筋腫で子宮を取ってて、
長年ペッサリーで粘ってから手術になって、
そして麻酔かけたら大きく脱出してきた(ステージ4)
このようなケースでは、警戒度マックスになって・・・
手術中も
「あ゙~~~やりづらい」
とか、ブツブツ言いながらやってます(笑)
まあそれでも、安全に完遂できてるんですけどね・・・
いっぽう、やりやすいケースは
いっぽう・・・
標準体形で、
婦人科領域の手術受けたこと無くて、
手術するのに適した進行度で(ステージ2~3)
ペッサリーも使ったことない。
このような優良?患者さんは、手術がやりやすいです。
「いつもこうだといいのにねえ」
などと言いながら、快適手術です(笑)
患者さんができること
そして、おわかりでしょうが・・・
これらの要素の多くは、対処可能です。
- 肥満の人はダイエットしましょう。
- 重症化する前に手術を受けましょう。
- ペッサリーで粘りすぎないようにしましょう。
(まあ、「術後の癒着」はしかたないですけどね)
ということで皆様・・・
そうと分かった以上、さっそく実行に移してくださいませ(笑)
赤木一成
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科