究極の骨盤臓器脱手術を求めて歩み続ける「旅」のお話

旅と言えば、むかし「北の果て」と「南の果て」を極めに行く旅をしたことがあります・・・

 

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科の、赤木一成です。

 

今回は年度末で区切りがいいので・・・

この機会に、「私の考える究極の骨盤臓器脱手術」について、お話させていただきます。

 

よろしければ、お付き合いください。

 

究極の骨盤臓器脱手術

 

↑これは、現在ワタクシが日常的に行っている、骨盤臓器脱経腟手術の概略図です。

 

2010年に骨盤臓器脱外科をスタートした時に、まず「究極の骨盤臓器脱手術とはなにか?」という問いを立てました。

それは、↓以下の10の要素に分かれています。

 

そして14年2300例超の経験を積む過程で、この「究極」の姿に向かって、改良を重ねてきました。

 

メッシュ(異物)を使わず治したい

 

まず、これです。

初期の経腟手術では、全例に対し、↑メッシュを使う術式(TVM手術)を行っていましたが・・・

 

現在当院では、メッシュ手術はほぼ淘汰されました。

 

ここ1年以上、全例にメッシュを使わない手術を行っています(参考

 

子宮を取らずに治したい

 

低侵襲(低ダメージ)の手術を追求していった結果、↑子宮を取る手術(従来法)は、10年以上前に淘汰されました。

 

経腟手術では全例で、子宮を取らずに治せています(参考

 

自然な膣の形に治したい

 

膣閉鎖術は、膣を縫い閉じる手術なので、膣が変形してしまいます。

 

この術式、当院では10年以上前に淘汰されました。

 

自然な膣の形で、治すように心がけています。

 

時間をかけずに手術を完遂したい

 

初期の経腟手術は2時間半くらい要してたけど・・・

手術手技の改良洗練を重ねていった結果、今はだいたい1時間で完了します。

 

ダメージ(侵襲)最小限で治したい

 

子宮も取らず、手術時間も短く、腹腔鏡も使わず、メッシュも不要なので、骨盤臓器脱手術の中で最もダメージが小さい方法と言っていいでしょう。

 

ローコストで治したい

 

骨盤臓器脱手術に要するコストは・・・

【高い】ロボット手術>>腹腔鏡手術>経腟メッシュ手術>メッシュ無し子宮温存経腟手術【安い】

の順番となります。

 

当院で大半の方に行われている「メッシュ無し子宮温存経腟手術」は、もっとも患者さんの費用負担(保険医療財政負担や病院持ち出しも)が小さい手術です。

最小限の人手で行うことができ、メッシュが不要で、高額な腹腔鏡器材も不要で、もちろん超高額のロボットも不要だからです。

 

予定通り退院できるようにしたい

 

約99%の患者さんは、大体予定通り(一週間)に退院できています(参照

 

たまに、「尿が出にくい」というトラブルで、退院延期になる人がいますけどね。

 

大きい合併症を起こさず治したい

 

重度臓器損傷とか、輸血を要する多量出血みたいな、大きい合併症が起こる可能性は500分の1程度です。

 

もちろん、ゼロを達成している施設は世界中どこにも無いでしょうが、限りなくゼロに近づける努力を続けています。

 

再発を0にしたい

私が手がける、年間270例程度の骨盤臓器脱手術のうち、再発は年一人程度です(参照

 

将来ぽつぽつと再発がでてくる可能性を加味しても、再発率は1%あたりに落ち着くと思われます。

 

これも、なかなかゼロになりませんねえ。

永遠の課題だと思ってます・・・

 

性交障害を起こさず治したい

 

最後のこれだけは・・・

散々考え抜いてきたけど、いまだ克服できてません。

(頸管延長型の子宮脱では、マンチェスター手術という解が見つかったのですが)

 

経腟手術では、膣壁を切ったり縫ったりする以上、性交障害リスクをなくすのはそもそも無理な相談なのかもしれませんね

だから、性生活を重視する若い方では、最初から腹腔鏡手術をお勧めする方針としてます。

 

経腟手術改良の旅はつづく。

 

ということで、「究極の骨盤臓器脱手術」に向けて、「改良の旅」を続けてきた次第です。

 

完成となることは無いのでしょうけど、限りなくそれに近づけていこうと思います。

 

 

赤木一成

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科