骨盤臓器脱手術6つの術式興亡記、隆盛と絶滅の物語。

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の、赤木一成です。

 

今回は、「骨盤臓器脱6つの術式興亡記」というタイトルで、お話させていただきます。

よろしければ、お付き合いください。

 

骨盤臓器脱6つの術式興亡記

最初に、誤解されないよう申し上げておきますが・・・

これはあくまでも、「当院限定」の話です。

 

当院では淘汰された術式であっても、その術式に熟達して好成績をあげている施設もあるでしょうからね。

今回の記事は、「いち病院における歴史」としてとらえていただけたらと。

 

2010年から↑骨盤臓器脱手術(子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤・膣脱)に本腰を入れて以来、当院では約3000例の手術を手がけてきました。

(このほか直腸脱手術も、1988年の旧本院開設以来、約3000例を手がけてきています)

 

 

 

この期間に経験した術式は、↑上記の6つです。

 

 

 

そして、当院における術式別件数の推移は、↑この通り。

 

 

 

それぞれどんな時代だったかというと、↑こんな感じになります。

 

2010年~2018年:経腟メッシュ手術

2010年からスタートして・・・

そこから2018年までは、TVM手術(経腟メッシュ手術)の全盛期。

(細くて黒い部分は、従来法膣閉鎖術。これらも時々出番があった)

 

2014年~現在:腹腔鏡手術

2014年から、腹腔鏡下仙骨膣固定術の勃興、そして定着して現在に至る。

 

2019年~現在:メッシュ無し経腟手術

2019年から、メッシュ無し子宮温存手術の勃興、そして現在の全盛期に至る(たまにマンチェスター手術も)

 

それと同時に、②TVM手術⑤従来法⑥膣閉鎖術が行われなくなり、現在では(ほぼ)絶滅。

 

こんな推移をたどって、今に至ります。

 

 

過去の経手術は・・・

  • メッシュを使う
  • 子宮を取る
  • 膣を縫い閉じる

といった短所を有していました。

 

当院では現在、これらの短所をすべて克服した術式が、主流になっているということですね。

 

生物の繁栄絶滅と似ている

画像引用

 

以上の経緯を見てると、「生物の繁栄絶滅」に似ている気がします。

 

「どこかのフィールドでナンバーワンでなければ生き残れない」というのが自然界の掟ですが・・・

現在生き残っている術式は、いずれもこの「ナンバーワンの強み」があるということです。

 

そして、「ナンバーワンの強み」が無い術式は、時代とともに淘汰されていきます。

 

手術で言えば

②TVM手術⑤従来法⑥膣閉鎖術の三つは、この掟に従って、(当院では)淘汰されていきました。

 

 

 

以上です。

その時代で最善の手術を提供し、同時に少しずつ進化を続け、今に至るという事ですね。

 

今後も進化は続いていくことでしょう。

とはいえ、経腟手術の改良は、ほとんど行き着くところまでいった気がします・・・(笑)

 

 

赤木一成

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科