子宮が無い場合の骨盤臓器脱手術:膣脱について。

 

わたし子宮脱で、手術を考えてるんです。

子宮脱の手術って、出てくる子宮を取れば治るんですよね?

教えてくださいな。

 

こんな疑問に答えます。

 

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成と申します。

 

私がこれまで手掛けた1300例超の骨盤臓器脱手術のうち、1割程度を占めるのが、この「膣脱」です。

今回はこの膣脱について、解説させていただきます。

 

子宮脱って、べつに子宮が悪いわけじゃありません。

膣脱というのは、子宮が無くて、膣壁が脱出してくる状態のことをいいます。

「過去に子宮脱手術で子宮を取ったのに、また出てきた」というのが、典型的なパターンです。

子宮脱って、べつに子宮が悪くて脱出してきてるわけではありません。

子宮を支える組織が弱くなって、その結果、子宮が出てきているわけですね。

 

手術で子宮を取るだけだと、また出てきて「膣脱」になります。

だから子宮脱の手術では、子宮を取るだけでは不十分なんです。

子宮を取ったら、断端(子宮を切り取った端のところ)を、奥の方に固定してあげる必要があるんです。

 

でもこの固定がうまくいかないと・・・

またこんな風↑に出てくることになります。

これが「膣脱」です。

中には膀胱とか小腸とかが入っています。

 

断端の固定が上手くいっても、他の場所が出てくることだってあるんです。

上図のように、膀胱がでてくることもあるし・・・

 

こんなふうに、小腸とかが出てくることもあるんです。

 

いまは原則、子宮を取らずに治すようになっています。

子宮脱の手術って、一筋縄ではいかなかったということですね。

これまで長い歴史を経て、先人たちが努力を重ねて、術式の改良が続けられてきたんです。

今でこそ技術が進化して、子宮脱手術で再発することはほとんど無くなってきているんですけど、それって割と最近のことなんです。

 

この「子宮を取って断端を固定する」のは、ずっと昔から行われてきた方法です。

2000年代に入って、子宮を取らずに治せるTVM手術が出てきて、低侵襲化(低ダメージ)が進みました。

術式の改良は少しずつ続いており、いまでは原則子宮を取らずに、子宮脱を治す方針になっています。

 

赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科