たまーに行っている直腸脱の術式②:アルテマイヤー法

  • 2020年8月17日
  • 2021年11月28日
  • 直腸脱

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科の赤木一成です。

今回は、たまーに行われる直腸脱術式その②として、アルテマイヤー法についてお話いたします。

 

アルテマイヤー法は、脱出している直腸を切り取って、腸管を縫合する術式です。

 

アルテマイヤー法(Altemeier法)は、脱出している直腸を切り取って、腸管を縫合する術式です。

手術手順の概略を示します。

 

 

↑直腸が脱出している状態。

われわれは、脱出直腸の外側を「外筒」、内側を「内筒」と呼んでいる。

 

 

①②:脱出直腸の外筒を切離

③④:脱出直腸の内筒を切離

⑤⑥:外筒と内筒を縫合して腸管をつなぐ

 

 

↑完成図

直腸の外筒と内筒が縫合され、正しい位置に戻っている。

矢印は腸管を縫合した場所。

 

アルテマイヤー法はどんな時に行われる?

当院における、直腸脱の経肛門手術の主役はデロルメ法です。

デロルメ法は、直腸粘膜を剥がして、筋層をアコーディオンのように縫い縮める手術です。

デロルメ法で縫い縮められる距離には限界があるので、デロルメ法で対応できない重度の直腸脱が、このアルテマイヤー法の適応になります。

だいたい脱出長7cmくらいまでならデロルメ法、それ以上だと他の方法(アルテマイヤー法や腹腔鏡下直腸固定術)という感じです。

 

重度の直腸脱に向く方法ですが、腹腔鏡手術に取って代わられました。

このアルテマイヤー法、直腸を切り取るわけですから、侵襲(ダメージ)が大きい手術です。

直腸を切り取って縫合するので、やることは直腸癌の手術と似ています。

もし縫合したところが漏れると、便がおなかの中に広がって緊急手術が必要となるから、術後はしばらく気が抜けません。

 

侵襲が大きいから成績がいいかというと、それほどでもなかったりします。

デロルメ法みたいに、筋肉の筒↑で腸管をささえるわけではないので、あとで再発したケースを何度か経験したんですね。

「リスクを負う割に、成績がとてもいいわけでもないから、割に合わない」という感じです。

 

こんな経験をして以来、重度の直腸脱の手術は、このアルテマイヤー法より、↑腹腔鏡下直腸固定術を選択する方針としています。

 

ただし、この腹腔鏡下直腸固定術も、侵襲(ダメージ)が大きい手術になります。

おなかをガスで膨らませて、頭を低くして、おなかを切って内臓を切ったり縫ったりする必要があるんです。心臓や肺に負担がかかりやすいということです。

 

だから、「リスクの高い高齢者で、重度の直腸脱」の場合には、治療方針に悩むことになります(この状況、けっこうよくあるんです)

 

リスク承知で、アルテマイヤー法や腹腔鏡下直腸固定術をやる。

再発が多いのを承知で、デロルメ法や三輪-Gant法をやる。

 

正解があるわけではありません。

そもそもこれらの術式全てに対応できる病院は、全国でも数か所しかないんです。

 

ただしこのアルテマイヤー法、たまーに出番があります。

ただこのアルテマイヤー法、たまーに出番があります。

直腸に癌ができて、これが先行して直腸と一緒に脱出しているケースがその一つです。

この場合、癌を直腸ごと取ってしまわないといけないので、アルテマイヤー法を行うことになります。

このケース、過去に2例経験しました。

腸を押し込んで、普通に直腸癌の手術もできるんでしょうけど、どちらも90歳近い方だったので、おなか側からの手術は避けたかったんですよね。

 

もうひとつの出番は、直腸脱が大きく脱出して、中に押し込めなくなった状態です(嵌頓〔かんとん〕直腸脱といいます)

押し込めないんだから、出てる直腸を切り取るしかありません。

放置しておくと腸管が壊死してきます。

腸管に強い炎症が起こっているので、そのまま縫合してもうまくいかず、漏れてしまう可能性が高くなります。

だからこのような場合には、特殊な手法を駆使して、縫ったところが漏れないようにする工夫が必要となります。

このケースも、2例経験したことがあります。

 

赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科