おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の、赤木一成です。
今回のテーマは、「直腸瘤と直腸脱の違い」です。
よろしければ、お付き合いください。
外来でよくあるやりとり
いつもの、骨盤臓器脱外来のお時間です。
水曜午後と金曜午後にやってます。
この外来には、新患の方が、週に12~15人くらい受診されます。
他院から紹介されてくる方と、自分で調べて受診される方、比率は半々くらいですかね。
↑こちらは、当院を初めて受診した、Aさんです。
「◯◯産婦人科」からの紹介状を、持参されてました。
紹介状には「直腸脱の治療依頼」と書かれてました。
まず↑診察して・・・
続いて説明を行います。
「診断は直腸瘤です」
「あれ、直腸脱じゃないんですか?」
・・・これって、よくあるやりとりなんです。
直腸瘤と直腸脱って、混同されがちなんですよね。
以下、詳しく触れてみようと思います。
直腸瘤と直腸脱どこがどう違うのか?
直腸瘤と直腸脱
どこがどう違うのか?
字面だけ見ても、よく分からないですよね。
実はこれ、よくわかってない医師も多いんです。
(ワタクシも、辻仲病院に来る前は、あんまり区別ついてませんでした・・・)
直腸瘤と直腸脱の違いは、以下の通りです。
直腸瘤は、直腸が「膣から」脱出してくる状態。
直腸脱は、直腸が「肛門から」脱出してくる状態。
↑図で見ると、違いは一目瞭然ですね。
直腸瘤は、膣側の疾患なので、婦人科で対応することが大半です。
いっぽう直腸脱は、肛門側の疾患なので、大腸肛門外科で対応します。
当院はこの二つの疾患に対し、”日常的に”診療・手術を手がけています。
私の知る限り・・・
直腸瘤と直腸脱の両方に対し、年間50例100例と手術を行っている病院は、他には無いんじゃないかと思います。
このケース、慎重に対応しています。
ということでワタクシ、紹介状に「直腸脱の診療依頼」と書いてあったら、慎重に対応するようにしています。
もうおわかりでしょうが・・・
紹介状に「直腸脱」と書いてあっても、多くは「直腸瘤」なんですよね。
ワタクシこのような場合、はじめに「膣から出てくるんですか? 肛門から出てくるんですか?」と確認してから、診察を開始するようにしています。
(いっぽう、紹介状に「直腸瘤」と書いてあったら、まず間違いなく直腸瘤です)
そしてたまーに、内科クリニックから、「直腸瘤の診療依頼」との紹介状が来ることがあります。
ワタクシこんな場合、思わず敬意の念を抱いてしまいます。
内科の先生が、こんなマイナーな疾患をご存じということは、相当勉強されているということですからね。
赤木一成
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科