子宮脱・膀胱瘤 まとめ

 

子宮脱と膀胱瘤は、骨盤臓器脱の中でもっとも頻度が高いものです。多くの場合子宮脱と膀胱瘤は合併しており、同時に治療を行うことになるため、両方合わせて解説することにします。

これは子宮や膀胱が膣から脱出してくる疾患です。

子宮脱・膀胱瘤の治療は、「保存的治療」と「手術」に分けられます。

保存的治療には「骨盤底筋体操」や「ペッサリー(リング)」などがありますが、これは骨盤臓器脱と「一生付き合っていく」方法であり、治るわけではありません。

子宮脱・膀胱瘤を根本的に治すには手術が必要となります。手術は大きく分けて3種類あり、「脱出の状態」および「本人・ご主人の希望」によって使い分けています。

辻仲病院柏の葉では、年間400例ほどの骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤・直腸脱・直腸瘤)の手術実績を有しています。千葉県・茨城県・埼玉県を中心に、関東一円から骨盤臓器脱で悩む方が多数受診されています。

子宮脱・膀胱瘤とは

骨盤臓器脱とは、「骨盤内の臓器が、腟や肛門から脱出してくる病気」のことをいいます。

子宮脱・直腸脱・膀胱瘤・直腸瘤・膣脱など、いろいろなタイプの骨盤臓器脱がありますが、ここでは特に頻度の高い子宮脱や膀胱瘤について解説します。

骨盤臓器脱は中高年の女性に高頻度で発生する疾患であり、出産経験のある女性の半数近くが骨盤臓器脱を有していると言われています。

骨盤臓器(子宮や膀胱など)は靭帯や膜で支えられており、これが出産で傷ついたり、加齢につれて弱くなってくることで、骨盤臓器脱が生じてきます。

くわしく:
子宮脱・膀胱瘤とは
子宮脱・膀胱瘤の原因
子宮脱・膀胱瘤の頻度

 

子宮脱・膀胱瘤の症状

骨盤臓器脱の症状としては、「腟からまるいものが脱出する」とか、「ピンポン玉のようなものが触れる」など、いろいろなものがあります。

また骨盤臓器脱を有する人は・・・
・肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛など)
・婦人科疾患(子宮筋腫・卵巣嚢腫など)
・排尿排便障害(尿もれ・尿失禁・便が出にくい・残便感など)
などのいろいろな疾患を合併していることがよくあります。

また子宮脱・膀胱瘤には、直腸脱(肛門から直腸が脱出する)を合併することもあります。

くわしく:
子宮脱・膀胱瘤の症状
子宮脱と直腸脱の合併例

 

子宮脱・膀胱瘤はどの診療科を受診すればいいの?

骨盤臓器脱の診療は、「骨盤臓器脱外来」「ウロギネ外来」「女性泌尿器科外来」といった専門外来で行われています。

骨盤臓器脱は、「直腸~肛門」「子宮~膣」「膀胱~尿道」というさまざまな臓器が関わってくる疾患です。

骨盤臓器脱で悩んでいる方は、子宮脱と直腸脱を合併していたり、肛門疾患や排尿障害を合併していることがよくあります。

だから骨盤臓器脱の治療は、大腸肛門科・婦人科・泌尿器科の3科がそろっており、病状に応じて各診療科の協力が得られるような病院で治療を受けるのがベストです。

くわしく:どの診療科を受診する?

 

子宮脱・膀胱瘤の診断

骨盤臓器脱の診断は容易であり、診察台でいきんでもらうだけで診断がつくことが大半です。

さらにMRI検査などを必要に応じて追加で行うこともあります。

くわしく:子宮脱・膀胱瘤の検査

 

子宮脱・膀胱瘤の治療

子宮脱や膀胱瘤の治療は、大きく分けて「保存的治療(骨盤底筋体操やペッサリーなど)」と「手術」の二つがあります。

治療方針の決定は、以下に示すようないくつかの因子を考慮に入れながら、本人の希望を最重視して決めることになります。

①重症度
②年齢・出産予定
③全身状態(大きな病気の有無)

くわしく:
子宮脱・膀胱瘤の治療

 

子宮脱・膀胱瘤の治療①:保存的治療

骨盤臓器脱の治療は「保存的治療」と「手術」に分かれます。

保存的治療には「骨盤底筋体操」と「ペッサリー」があります。

骨盤底筋体操は筋力トレーニングの一種です。

ペッサリーは特殊なリングを膣に挿入して、骨盤臓器が出てこなくする方法です。

これらはいずれも「骨盤臓器脱と一生つきあっていく」方法であり、骨盤臓器脱を根本的に治す方法ではありません。

だから手術ができない人に対する、一時的な対処法と考えています。

くわしく:
子宮脱・膀胱瘤の保存的治療(骨盤底筋体操・ペッサリー)

 

子宮脱・膀胱瘤の治療②:手術

骨盤臓器脱を根本的に治すには、手術しか方法がありません。

骨盤臓器脱の手術は、①従来法(メッシュを使わない経腟手術)・②TVM手術(メッシュを使う経腟手術)・③腹腔鏡下仙骨膣固定術(メッシュを使う経腹手術)の3種類があり、「骨盤臓器脱の状態」および「本人・ご主人の希望」によって使い分けています。

 

■子宮脱・膀胱瘤の手術:従来法

この「メッシュを使わない手術」は、従来から行われてきた方法なので、一般に「従来法」と呼ばれています。

従来法の手術にはいろいろなものがありますが、ここでは一例として、「子宮を靭帯に固定して膣壁を縫い縮める方法(仙棘靭帯固定術+前膣壁形成術)」を示しています。

手術の概要は以下のごとくです。

左:子宮の一部(子宮頸部)を靭帯に縫い付けて固定する。

右:膣壁を切開して、膀胱瘤を縫い縮めて補強する。

 

従来法の長所短所は以下の通りです。

●長所
手術時間は短い(1時間ちょっと)
手術の侵襲(ダメージ)が小さい
メッシュ(異物)を使う必要がない

●短所
膣壁に傷ができるので、性交障害の可能性がある
重度の骨盤臓器脱では、再発の可能性が高くなる

くわしく:子宮脱・膀胱瘤の手術(メッシュを使わない方法)

 

■子宮脱・膀胱瘤の手術:TVM手術

このTVM手術は、膣側からメッシュを留置する方法です。

手術手順は以下のごとくです。

①膣壁を切開し、膣壁と膀胱の間をはがしていく。

②図のような形の小型医療用シート(メッシュ)を留置する。

③メッシュの腕のところを、体内の靭帯に通して、ハンモックのようにつり上げる。

④膣壁を縫合して終了。

⑤手術前と手術後の状態。下がっていた子宮と膀胱を、メッシュが正常位置につり上げている。

 

TVM手術の長所短所は以下の通りです。

●長所
手術時間は短い(1時間ちょっと)
手術の侵襲(ダメージ)が小さい
重度の骨盤臓器脱でも対応できる

●短所
膣壁に傷ができるので、性交障害の可能性がある
メッシュを使う必要がある

くわしく:子宮脱・膀胱瘤のメッシュ手術(TVM手術)

 

■子宮脱・膀胱瘤の手術:腹腔鏡下仙骨膣固定術

この腹腔鏡下仙骨膣固定術は、おなかに小さい穴を5か所ほどあけて、カメラで行う手術です。おなかの中から手術を行い、メッシュを固定します。

子宮を取って、膣壁にメッシュを縫い付けて、メッシュのもう一方の端を腰の骨(仙骨)に固定します。

 

腹腔鏡下仙骨膣固定術の長所短所は以下の通りです。

●長所
膣壁に傷ができないので、性交障害の可能性は経腟手術より低い
重度の骨盤臓器脱でも対応できる

●短所
手術時間が長い(3時間超えることが多い)
おなかの中から子宮を取って内臓を切ったり縫ったりする必要がある
手術の侵襲(ダメージ)が大きい
メッシュを使う必要がある

くわしく:おなか側から行う手術(腹腔鏡下仙骨膣固定術)

 

■子宮脱・膀胱瘤の手術:どの術式がいいの?

術式選択基準の目安を示します。これはあくまでも現時点における当院(赤木)の術式選択基準であって、医療機関によって考え方はバラバラなのが現状です。またこの基準は時代とともに変わっていくと思われます。

 

●まず経膣手術がよいか経腹手術がよいかを決める。

まず「性生活を重視するかどうか」で、経膣手術か経腹手術かを選択します。

性生活を重視しないのであれば経腟手術(従来法かTVM手術)。重視するのであれば経腹手術(腹腔鏡下仙骨膣固定術)。

 

●経腟手術を行う場合、従来法がよいかTVM手術がよいかを術中に判断する。

手術中に麻酔をかけた状態で子宮を引っ張ってみて、さらに手術を進めていって、「従来法がよいかTVM手術がよいか」をその場で判断して使い分けるようにしています。

「メッシュを使わなくてもきれいに治せる」と考えられる場合には従来法。

「メッシュを使わないと再発する可能性が高い」と考えられる場合にはTVM手術。

くわしく:
子宮脱・膀胱瘤の術式を比較する
子宮脱・膀胱瘤の手術成績
骨盤臓器脱の手術 Q and A

 

骨盤臓器脱専門外来

辻仲病院柏の葉(千葉県柏市) では、「骨盤臓器脱専門外来」にて骨盤臓器脱の専門診療を行っております。

大腸肛門科・泌尿器科・婦人科の医師が協力して骨盤臓器脱の診療を行っており、病状に応じて各診療科が治療を担当いたします。

辻仲病院柏の葉では、年間400例ほどの骨盤臓器脱(子宮脱・直腸脱・膀胱瘤・直腸瘤)の手術を行っております。

千葉県・茨城県・埼玉県を中心に、全国各地から骨盤臓器脱で悩む方が多数受診されています。

 

辻仲病院柏の葉 骨盤臓器脱専門外来
(管理者〔赤木〕は、木曜午後・金曜午後 を担当しています)

辻仲病院柏の葉:04-7137-3737
予約専用電話(おすすめ):04-7137-6283 (14:00~17:00)