骨盤臓器脱手術後に感染を起こさないために、多くの注意事項があります。

 

 

わたし、子宮脱で手術を考えてるんです。

糖尿病があるんですけど、糖尿病の人って免疫力が弱いらしいですね。

感染が心配なんですけど、大丈夫ですか?

こんな疑問に答えます。

 

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科の赤木一成です。

 

今回は「感染」のお話です。

感染って、手術したところに細菌が繁殖して化膿することです。

 

術後に感染が起こると、困ったことになります。

感染している傷を開いて、貯まっている膿を出してあげる必要があります。

そして感染部位に糸とかメッシュが入っていたら、それを取り除かなければいけません。

 

私がこれまでに経験した術後感染は2例。

 

私がこれまでに執刀した骨盤底領域の手術(骨盤臓器脱・直腸脱)は、1700例くらいです。

このうち、骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤直腸瘤)手術は1350例以上行っていますが、感染した人はいません。

 

いっぽう直腸脱手術では、私が手術した約300例のうち、感染した人が二人いました。

いずれも直腸脱の術後で、ティールシュ法で留置した糸の感染です。

 

骨盤臓器脱の手術後に、感染を起こさないために行っていること

 

入院前の注意事項

もっとも警戒しないといけないのは糖尿病です。

糖尿病の指標として、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)というものがありますが、この値が大事になります。

これが8.0を超えている場合には、手術をいったん延期したり、早く入院させて糖尿コントロールを行ってから手術を行うように、ルールを作っています。

 

手術時の注意事項

手術時に大事なのは、もちろん十分な清潔操作ですね。

 

定められた手順に従って、手をきれいに洗浄消毒して、ガウンや手袋をきちんとつけます。

そして手術する部位を、イソジンで十分に消毒してから手術を行います。

 

術前術後の注意事項

さらに術前術後のコントロールです。

 

感染予防のポイントは4つあります。

①十分な血糖値のコントロール(インスリンを使います)

②低体温予防(電気毛布を使います)

③低酸素予防(酸素を投与します)

④抗生剤の十分な投与(スケジュールが決まっています)

 

注意事項を徹底すれば、感染はまず起こらないと言えます。

以上、当院の感染予防対策についてお話しました。

 

感染を予防するためには、多くの注意事項があるということですね。

これらの対策をしっかり行っていれば、感染の可能性はまず起こらないと考えていいと思います。

 

赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科