いろんな再発パターンとその修復術 今週の骨盤臓器脱手術は7例

病院のまわりはタワマンだらけ・・・

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。

 

週末なので、「一週間の骨盤臓器脱手術記録」を書きます。

患者さんを特定できないよう配慮して、数週間前の日常を描写しています。

 

手術を7例行いました。

この週は、↑骨盤臓器脱手術を7例行いました。

 

4例はいつも通りのよくある手術だったんですけど・・・

残りの3例は、ちょっと特殊な手術だったんです。

 

それはなにかと言いますと、「再発症例の手術」であります。

 

再発症例の手術

 

今週は、再発症例の手術が3例ありました。

長年骨盤臓器脱手術をやり続けてきましたが、一週間に3例の再発手術というのは初めてだと思います。

 

うち2例は、他施設で受けた骨盤臓器脱手術後の再発。1例は私がやった手術後の再発です。

 

いろんなパターンの再発があるから、原因を見極めて適切な手術を行わなくてはいけません。

 

①腹腔鏡手術後の再発

 

他施設で↑腹腔鏡下仙骨膣固定術を受けて、その後再発した症例です。

 

この手術では、子宮を取り除いて、膣壁にメッシュを縫い付けて固定しています。

メッシュの上端は仙骨に固定します。

 

膣壁が大きく下がってきており、↑メッシュの固定が外れたものと思われました。

 

このようなケースって、子宮を取ってて、しかもメッシュを縫い付けたりしてるので、癒着で高難度が予想されます。

 

じっさい剥離操作時(はがすこと)の難度が高かったけど、なんとか安全に剥離できました。

メッシュを使わない経腟手術で修復可能でした。

 

②TVM手術後の再発

 

↑他病院でTVM手術(経腟メッシュ手術)を受けて、その後再発した症例です。

ご家族の希望で、当院へ紹介されてきました。

 

 

メッシュがダンゴ状のカタマリになっているのが、外から触れても分かります。

時が経つにつれて、↑メッシュの固定が外れたものと思われます。

たぶん、靭帯に通したアームも抜けて、全体的に縮んできてるんでしょう。

TVM後の典型的な再発パターンです。

 

膣壁を切開したら、やっぱりダンゴになっているメッシュが出現しました。

このメッシュは、もはや役に立ってないので、可能なかぎり取り除きました。

 

さらに慎重に剥離を進めてゆき、メッシュを使わない経腟手術で修復することができました。

 

③「子宮脱+直腸脱」の術後再発

 

1年くらい前に、ワタクシが子宮脱+直腸脱の同時手術を行った方です。

 

子宮脱と直腸脱は治ってたけど、こんどは↑膀胱瘤が再発してきました。

 

子宮と直腸が元の位置に戻ったら、こんどは弱い場所(膀胱)に腹圧がかかって、膀胱瘤が出てきたんですね。

モグラ叩きみたいな感じです。

 

子宮脱+直腸脱の症例って、骨盤臓器を支える組織(筋肉、筋膜など)が全体的に弱ってるから、こんなふうに手こずることがしばしばあるんです。

 

この方も、骨盤底の組織が薄くて弱々しい感じでした。

手術ではメッシュを使わないと再発しそうだったので、最小限にメッシュを使って修復を行いました。

 

ワタクシがメッシュを使うのって、100人中1人くらいなんですけど、今回はその数少ないケースでした。

 

以上、再発症例の手術3例でした。

今のところ、みなさん順調です・・・

 

赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科