ペッサリー入れっぱなしにしてるとどうなる?今週の臓器脱手術は7例。

 

柏の葉エリアはタワマンが多いです。昔はなーんも無かったんですよ・・・

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。

 

週末なので、「一週間の骨盤臓器脱手術記録」を書きます。

患者さんを特定できないよう配慮して、数週間前の日常を描写しています。

 

手術を7例行いました。

この週は、↑子宮脱+膀胱瘤の手術を7例行いました。

全員が大きなトラブルなく経過して、ほぼ予定通りに退院されました。

 

ペッサリー使用の有無で手術難易度が異なる

この手術、「ペッサリーを使ってる人」と「使ったことない人」では、難易度が異なります。

 

ペッサリー使ったことない人では、子宮がある程度下がってるから操作がやりやすく、しかも癒着が無いので安全に剥離(はがすこと)ができます。

 

いっぽうペッサリーを使っていた人では、子宮が奥に引っ込んでて操作がやりにくく、しかも癒着していることが多いんですね。

 

とくに要注意なのが、「ペッサリーで何年も粘って限界に達して、ようやく手術を受ける人」です。

まあ、そんな人でも、安全に手術してるんですけどね・・・

 

ペッサリー交換時にチェックしていること

 

ペッサリーを留置したら、約3か月おきに通院が必要です。

(自己着脱できる人は、もっと間隔長くても大丈夫です)

 

ペッサリーの通院時に見ているのは、以下の二点です。

①膣粘膜にトラブルが生じてないか

②ペッサリーのサイズは適切か

この二点をチェックした上で、ペッサリー交換を行います。

 

①膣粘膜にトラブルが生じてないか

ペッサリーがずっと接触しているから、膣粘膜に炎症が生じてくる人がいます。

 

膣粘膜がきれいな人なら、まだ当分の間は、ペッサリーを続けても問題ありません。

 

でも高頻度で、膣粘膜が炎症を起こしたり、ただれたりする人がいます。

ペッサリーのサイズを変えたり、薬を使ったりして様子を見るんですけど、それでも改善しない人がいます。

この場合「もうペッサリーは限界」ということなので、手術をおすすめしています。

 

②ペッサリーのサイズは適切か

ペッサリーが大きすぎると、上記の「膣粘膜のトラブル」が起こりやすくなります。

ペッサリー交換の時に、なかなか抜けなくて強い痛みが生じることもあります。

 

いっぽう、ペッサリーが小さすぎると、容易に脱落するようになります。

だから通院のたびに、適切なサイズのペッサリーを考えて、留置することになります。

 

また、ペッサリーを色々と試してみても、容易に脱落する人がいます。

重度の子宮脱の人とか、膣口が広がっている人は、こうなりやすいですね。

この場合も、もうペッサリーは限界ということなので、手術をおすすめすることになります。

 

ペッサリーを入れっぱなしにしてたらどうなる?

 

たまーに、ペッサリー入れっぱなしでトラブルを起こす人がいます。

 

施設に入居してて、ペッサリー交換に通院できなくて、何年も入れっぱなしになっている。

ペッサリーを入れてくれた医院は、院長先生が引退して閉院してた。

こんなケースが典型的ですね。

 

この場合、膣壁がただれて異臭を放つようになったり、出血が止まらなくなったりします。

 

困り果てて病院に来るんですけど、ここまで来たらペッサリーが組織にめりこんでて、抜けなくなっていることがあります。

最悪の場合、直腸や膀胱までペッサリーが食い込んでいることもあります。

 

こうなってしまったら、麻酔をかけて、ペッサリーを切断して引っこ抜く必要があります。

 

ここまで来ると、本人も家族も私も大変なので、元気なうちに手術で治したほうがいいですよ・・・

 

赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科