直腸脱で肛門の締まりがゆるい人:手術で回復しますか?

  • 2020年10月13日
  • 2021年1月11日
  • 直腸脱

 

わたし直腸脱で、肛門の締まりがゆるくなっています。

肛門の締まりは、手術すれば元に戻りますか?

教えてくださいな。

 

こんな疑問に答えます。

 

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科の赤木一成です。

 

当院では、年間100例近い直腸脱手術を行っています。

 

直腸脱の人は、肛門の締まりがゆるくなっています。

直腸が脱出することで、肛門括約筋が伸ばされて、締まりがゆるくなってしまうんです。

 

直腸脱の手術を受ける患者さんが気にするのが、「直腸脱の手術を受けたら、ゆるくなった肛門の締まりはよくなるのか?」ということです。

 

手術して直腸脱が治れば、肛門の締まりは徐々に回復してきます。

結論から言うと、直腸脱の手術を受けて、再発が無ければ、肛門の締まりは徐々に回復してきます。

 

手術が終わってしばらくの間は、肛門の締まりはゆるい状態です。

この場合、「括約筋訓練」とか、「バイオフィードバック」という治療法で、肛門括約筋を鍛えていくのが良いとされています(当院でもやっています

手術で直腸脱を治してから、こういう治療を続けていくと、だんだん締まりが回復してくるんです。

 

ただし・・・

本当は定期的に通院してもらって、括約筋訓練とかバイオフィードバックとかをやりたいけど、実際には難しいことが多いんです。

直腸脱の患者さんは、「90歳近いおばあちゃんで施設に入ってる」とか、「遠方に住んでて来院するのに2時間かかる(直腸脱手術をやってる病院ってほとんど無いんです)」とかで、通院が大変な人ばっかりなんです。

そして病院で括約筋訓練を教えても、こういう方が退院してから自分でできるかと言うと、やっぱり難しいですよね。

 

だからそういう時は、「手術だけで勝負」という感じになります。

 

直腸脱手術と同時に、肛門の締まりを元に戻す方法もあるんです。

 

 

ティールシュ法という術式があります。

これは肛門の周囲に特殊な糸を通して、肛門の締まりを正常に近付ける方法です。

これをやると、大きく広がっていた肛門が「きゅっ」と締まって、若い人の肛門みたいにかっこよくなります。

 

学会の場では、「ティールシュ法は三輪-Gant法とかの直腸脱手術で必ず同時に行う」という先生もいるし、「やってもやらなくても成績は変らないから不要」という人もいて、どっちが正しいのかよくわからなくなります。

こういうときはコクランレビューという、「論文を集めて検討した総本山」みたいなのが信頼性高いとされてるんですけど、このティールシュ法の比較検討はなされていないんです。

国内にも直腸脱のガイドラインはあるのですが、やっぱりティールシュ法には言及されていません。

 

だからこのティールシュ法、各医師の考え方に基づいて、やったりやらなかったりすることになります。

私は「やった方がいい」と思ってる派なので、締まりがゆるい人には積極的に行っています。

 

ティールシュ法を行ったら、手術直後から肛門がきゅっと締まった状態になります。

いずれ肛門括約筋の機能が回復してくるから、それまでティールシュの糸で支えてもらおうという考え方なんです。

 

ただし筋肉がうすーくなってて、肛門の締まりがゼロになってしまっている人では、これでも苦戦するんですけどね・・・

 

今回はマニアックな話で失礼しました。

 

赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科