こんど子宮脱の手術を受けます。
血液サラサラの薬を飲んでて、手術の時に止める予定です。 これを止めたら血栓ができるんじゃないかと思って、心配しています。 |
こんな疑問に答えます。
おはようございます。
辻仲病院柏の葉 骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
毎日毎日、子宮脱膀胱瘤の手術や直腸脱の手術に明け暮れています。
骨盤臓器脱手術を受けるとき、血液サラサラの薬(抗血栓薬)を止める必要があります。
でもこの薬を止めたら、血栓ができそうで心配ですよね。
でも大丈夫。当院ではマニュアルに従って、安全にやっていますよ。
骨盤臓器脱手術受ける人が、血液サラサラの薬を飲んでることって多いです。
わたくし月に20人近く、骨盤臓器脱や直腸脱の手術をやってるんですけど、抗血栓薬を飲んでる人って多いです。
手術を受ける方のうち、2~3割くらいの人が飲んでるんじゃないでしょうか。
飲んでる理由は、狭心症だったり、脳梗塞予防だったり、いろいろです。
手術を行う場合には、この薬を中止する必要があります。
まず主治医に手紙を書いて、中止していいかどうか問い合わせます。
手紙を書いたら、たいていの場合、「中止してOK」との返事が来ます。
抗血栓薬には何十種類もあって、中止期間は薬によって異なります。
薬の種類に応じて、当院の規定に従って、薬を中止することになります。
病院のマニュアルに従って、安全に対処しています。
抗血栓薬にも、弱いのから強いのまで、色々あります。
強いのを飲んでいる場合には、「ヘパリン化を行ってください」という返事が来ることもあります。
画像引用:持田製薬
ヘパリンというのは、点滴の抗血栓薬です。
内服の抗血栓薬を中止して、中止している間はヘパリン点滴を行うんです。
手術前日の深夜に点滴を中止して、朝に手術して、手術当日の夜に点滴再開するので、細かいスケジュール調節が必要です。
またこの場合、入院日を予定より早めに変更する必要があります。
過去の骨盤臓器脱手術で、血栓のトラブルを起こした人はいません。
これまで私が手がけた、千数百人の骨盤臓器脱手術で、抗血栓薬を止めた人は何百人もいます。
そしてヘパリン化を行った人も、数十人います。
さいわいこれまでに、骨盤臓器脱の手術で、血栓のトラブル(肺梗塞、脳梗塞、心筋梗塞など)を起こした人はいません。
抗血栓薬を処方してる先生とか、麻酔科の先生とか、薬剤師さんとか、病棟スタッフとか、いろんな方の協力をいただいて、安全に手術を行っているわけですね。
赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科