おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
今回は、ちょっと挑発的なタイトルで恐縮ですが・・・
「骨盤臓器脱になった人が、手術から逃げ続けるとどうなる?」というテーマで、お話させていただきます。
もしかしたら、気分を害する方がいらっしゃるかもしれませんね。
でも、必ず患者さんのメリットになる話だと考えるので、あえて発信させていただきます。
一生手術せずに逃げ切ることは可能?
「一生手術せずに逃げ切れないか・・・?」と思ってる方、実際にいらっしゃいます。
まあ気持ちはわかります。
分かりますよ。
・・・でもですね、
「交通事故で突然この世を去る」とかでないかぎり、それはたぶん無理だと思います。
そもそも、そんな展開イヤでしょ?
と、いうことで。
「手術から逃げ続けてきた人」がどうなるのか。
散々その光景を目の当たりにしてきたワタクシが、解説させていただきます。
手術から逃げ続けるとどうなるのか
まず最初に知っておくべきことは
「骨盤臓器脱が自然に治ることは無い」ということです。
ずっとこのままか、悪化していくかのどちらかです。
そして、手術から逃げ続けると、最終的にどうなっていくかというと・・・
おりものや出血に悩まされるようになる
まず、これです。
脱出するのが不快なのは当然として・・・
膣壁が下着にこすれて、おりものや出血が続きます。
尿が出にくくなる。膀胱炎を繰り返す。水腎症を生じる。
膀胱が下がって、尿道が圧迫されると・・・
尿が出にくくなり、残尿が増えてきて、いろんなトラブルが生じます(詳細)
- 残尿に菌が繁殖して、膀胱炎を繰り返す。
- 腎臓に負担がかかって、水腎症を起こすこともある。
- 重症化して尿が出せなくなったら、おしっこの管(バルーンカテーテル)の留置が必要となる。
痛みを生じることもある。
重症化すると、↑上記のように痛みを生じるようになります。
また子宮が引っ張られることで、腹痛や腰痛を訴える人もいます。
ペッサリーは一生続けられる?
「一生ペッサリーではダメなの?」と思う方も、いらっしゃるかもしれませんね。
結論から言いますと・・・それはやめたほうがいいです。
その理由は
- ペッサリーは定期交換が必要だけど、通院が年とともに困難になる。
- 通院が面倒で入れっぱなしにしてると、ただれが生じて、おりもの・出血・悪臭に悩まされる。
- ペッサリーがめり込んで抜けなくなることもある。
- 年取ってから気が変わって手術を希望しても、全身状態が悪くなってて、手術できないという展開もありうる。
等になります(くわしくはこちらもどうぞ)
以上です。
これまで何度も書いてきてますが・・・
元気なうちに、時間に余裕をもって、手術を受けるのが最善ということですね。
念のため言っときますが・・・
何年も手術から逃げ続けた挙句、限界に達して、↑「いますぐ手術してほしい」と言われても無理ですよ。
他にもたくさんの方をお待たせしてますからね。
赤木一成
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科