子宮脱の手術を安全に行うための守護神・麻酔科

 

わたし、こんど子宮脱の手術を受けます。

入院前に麻酔科の先生の診察があるそうです。

麻酔科の先生は、私の手術の麻酔をかけるだけだと思ってたけど、なんで診察が必要なの?

教えてくださいな。

 

こんな疑問に答えます。

 

 

わたくし年間200件を超える子宮脱膀胱瘤の手術に加えて、直腸脱直腸瘤の手術も年間50件ほど行っています。

おかげさまで、事故を起こさず安全に手術を行うことができているのですが、これは麻酔科の先生の力が大きいんです。

 

子宮脱膀胱瘤の手術を安全に行うのに欠かせない守護神・麻酔科ドクター。

麻酔科の先生は、患者さんと顔を合わせる機会はめったにないですが、手術を行う上で欠かせない「守護神」です。

子宮脱の手術中には、患者さんのバイタルサイン(血圧とか、脈拍とか、体温とか、呼吸状態とか)に目を光らせて、もし異常が生じるようなら即座に対応します。

当院の子宮脱の手術を行う際にも、この麻酔のエキスパートの先生が麻酔をかけてくれます。

おかげで事故を起こさず、安全に手術を終えて、患者さんは病室に帰っていくことができます。

 

手術前の評価も大事な仕事です。

麻酔科ドクターの仕事は、手術の時に麻酔をかけるだけではありません。

手術前の評価も大事な仕事です。

 

入院前に麻酔科ドクターの診察があるのは、この手術前の評価を行うのが目的です。

  • この患者さんに、安全に麻酔をかけることができるか。安全に手術を受けさせることができるか。
  • リスクがある場合には、どうすれば安全な状態に持っていけるか。
  • 状況によっては、「手術を延期(中止)したほうがよい」と外科医に伝える。

こういった仕事をしてくれているのです。

 

麻酔科の先生のおかげで、術者は手術に集中できます。

かつて当院では、脊椎麻酔(腰から注射する下半身麻酔)をかけて、子宮脱や膀胱瘤や直腸瘤とかの手術を行っていました。

このやり方でも、特に事故とかは起こさずできていたんですが・・・

手術操作で子宮をひっぱった時におなかの痛みを訴えたり・・・

血圧が下がって徐脈になったり(迷走神経反射といいます)・・・

吐き気を訴えたり・・・

こんなのがときどき起こって、対処に追われるんです。

患者さんの快適度は低いし、術者も手術に集中できないわけですね。

 

いっぽう麻酔科の先生が麻酔を管理してくれると、安全安心だし、患者さんも楽だし、術者も手術に専念できるんです。

 

いつもお世話になってます。

 

作成:赤木一成(辻仲病院柏の葉 医師)