子宮脱も膀胱瘤も直腸瘤も、簡単な手術は無いけど、ほぼ予定通りに経過します。

 

わたし、子宮脱の手術を受けることになって、不安なんです。

それって簡単な手術なんですか?

教えてくださいな。

 

こんな疑問に答えます。

 

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉 骨盤臓器脱外科医師の赤木一成と申します。

 

子宮脱や膀胱瘤直腸瘤で、手術が必要な患者さんがいたとします。

毎日のように手術をやってるので、手術説明も毎日行うことになるのですが、その時にときどきある質問がこれです。

「簡単な手術ですか?」

 

医師が患者さんに「簡単な手術です」と言うことはありません。

気持ちはわかります。

医師に「簡単な手術です」と言ってもらって、安心したい気持ち、よく理解できます。

 

でも手術を生業とする医者であれば、けっして「簡単な手術」などと言うことはありません。

どんな手術であれ、合併症のリスクがあり、ベテランの医師ほど色々と痛い目にあってきています。

そしてその経験が、心に刻まれているから、簡単などとはとても言えないんですね。

 

たとえば肛門科領域の手術ではありますが、もっとも短時間で終わる手術のひとつ、血栓性外痔核の切除を例にしてみましょうか。

血栓を取るだけなので、一見すると簡単な手術に見えますが・・・

これだって、局所麻酔が不十分で痛かったり、術後に出血したり、大きく腫れたり、傷がなかなか治らなかったり(難治創といいます)、いろいろトラブルが起こりえるんです。

どんな手術であれ、なんらかのトラブルのリスクがあるということですね。

 

でも子宮脱や膀胱瘤や直腸瘤の手術は毎日のように行っており、99%の人がほぼ予定通りに退院しています。

万一トラブルが起こった患者さんには、申し訳なく思うのですが・・・

生命体に起こる無数の現象を、人間である医師がすべて完璧にコントロールするなんて、しょせん不可能なのだと思っています。

ただ、100%の完璧は不可能でも、限りなく100%に近付ける努力はしています。

そして万一トラブルが起こった場合には、正しくリカバリーショットを打ちます。

 

子宮脱や膀胱瘤や直腸瘤の手術を受ける方から、「簡単な手術ですか?」という質問があった場合、私はこのように言っています。

「簡単な手術はこの世に存在しませんが、この手術は毎日のように行っており、99%の人がほぼ予定通りに退院しています」

これでどうですか?

(直腸脱手術はさらにコントロールが難しいので、違った説明が必要なのですが)

 

作成:赤木一成 辻仲病院柏の葉 医師