↑骨盤臓器脱手術で用いられる器具です・・・
おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
週末なので、「一週間の骨盤臓器脱手術記録」を書きます。
これはリアルタイムの記録ではありません。ちょっと前の日常を描写しています。
子宮脱膀胱瘤の手術を6例行いました。
この週は、子宮脱+膀胱瘤の手術を6例行いました。
全員が大きなトラブル無く経過し、だいたい予定通りに退院していきました。
月曜から金曜まで、判で押したような日々が過ぎていきます。
はたから見たら単調で退屈に思えるかもしれませんね。
でも「技術の深化」を得るには、「考えながら同じことをひたすら繰り返す」しかないのだと心得ています。
プロ野球選手の素振りとかもそうなんじゃないでしょうか。
2020年の骨盤臓器脱手術成績:220例を検証してみた。
今回は、↑子宮脱や膀胱瘤や直腸瘤に対する「経腟手術」の成績について、公開いたします。
(直腸脱に対する「経肛門手術」については、またいずれ機会をみて公開しようと思います)
2020年に、私が手がけた子宮脱膀胱瘤直腸瘤の経腟手術は、220例ありました。
(直腸脱経肛門手術は44例でした)
コロナ禍で色々ありましたが、なんだかんだで終わってみたら、過去最多の手術件数です。
当院では、内科ドクターや感染症チームが、コロナと戦っています。
われわれ外科系チームは、可能な範囲で手術を頑張って、収益をあげなければいけません。
そうしないとスタッフの生活も困るし、もし辻仲病院が倒産したら地域医療が困ります。
99%の人が、ほぼ予定通りに退院できていた。
2020年に私が執刀した220例の手術成績を検証します。
間違いない数字だと思うのですが、もし記憶違いがあれば、この記事を読んだスタッフが気づいて教えてくれることでしょう。
220例すべてに「メッシュを使わない手術」を行っており、メッシュ手術(TVM手術)を行ったケースはありませんでした。
手術自体の重大トラブル(再手術を要する臓器損傷、輸血を要する大量出血など)はありませんでした。
術後の排尿トラブルで退院延期になった方が、一人いました。
膀胱機能の回復が遅くて、おしっこの管(バルーンカテーテル)が再留置となった方です。
入院期間が数日伸びましたが、自然回復して退院されました。
また、手術手技とは関係ない、心肺系の合併症が1件ありました。
患者さんには気の毒で申し訳なく思うのですが、予測予防の不可能な合併症でした。
高齢者ではまれに想定外のトラブルが起こりえます。全力で対処するしかありません。
これ以外の患者さんは、特記すべきトラブルはありませんでした。
以上、220名のうち、予定通り退院できなかった方が2名いらっしゃいました。
残りの218名(約99%)の方は、ほぼ予定通りに退院できていました。
ちなみに便秘とか痛みとかで、退院が1~2日伸びたのは、「ほぼ予定通り」に含めています。
入院中は誰でも便秘気味になり、術後は誰でも多少の痛みがあるからです。
これまで予定退院率100%を目指して、無数の工夫改良を加えてきました。
でもなかなか100%にはならないですね・・・
再発は現時点でゼロ。長期的に約99%の人は大丈夫ではないかと・・・
2020年に骨盤臓器脱手術を受けた方で、再発した人は、今のところゼロです。
ただしまだ、術後1年経過していないので、これからぽつぽつと再発が出てくると思われます。
おそらく長期再発率は1%台くらいに落ち着き、残りの98~99%の人は、一発で治るだろうと見込んでいます。
再発に関しては、もうすこし改良の余地があるので、実行に移しています。
いずれ再発率ゼロに持っていくのが、目標の一つです・・・
以上、2020年の手術成績公開でした。
赤木一成 辻仲病院柏の葉 骨盤臓器脱外科医師