ここのパンダ舎は客がいなくてほぼ貸切状態・・・
おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
1月に手がけた手術は27例でした。
先月(2025年1月)に、ワタクシが術者を務めた手術は、27例でした。
27例の内訳は・・・
↑骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤・膣脱)の経腟手術が23例
↑直腸脱の経肛門手術が2例
↑尿失禁に対するTOT手術が2例でした。
また私とは別に、↑腹腔鏡チームが経腹手術を10例ちかく行っていました。
手術関連トラブル:ほぼ解決できた課題と、現在進行中の課題。
これは過去にも、同様の記事を書いたことがありますが・・・
骨盤臓器脱手術における、いろんな課題(トラブル)です。
せっかく、病院あげて態勢整えて骨盤臓器脱領域に参入しても・・・
何年やってもなかなか手術症例が増えず
経験値が上がらないからトラブルも減らない
その悪循環が続いてそのうち撤退
そんな病院、全国あちこちに存在するんじゃないかと。
そしてトラブルの中で、特に心が折れそうになるのは、↓この4つ(と思う)
- 臓器損傷
- 術中出血
- 再発多すぎ
- メッシュトラブル頻発
骨盤臓器脱手術を年間100件以上手がけてるエキスパートって、全国に10人~20人ほどいらっしゃると思うんですけど・・・
臓器損傷とか出血とか再発とかメッシュトラブルとか、誰だって何度も経験してきてるはずです。
手術を生業にしてたら、倒れて叩きのめされて心折れそうになる機会が、何度も何度もやって来る。
そこで辞めるか続けるか。
倒れるたびに立ち上がり、原因を克服して、さらに強くなっていく。
でないと続けていけない。やり続けるって大変(笑)
前回と似たような内容になって恐縮ですが・・・
私の場合、上記の①②③④はどうなってるかといいますと
まず①の「臓器損傷」は
3年以上前に、重度の損傷を1例経験して以来、約1000例くらい起こってません。
③の「再発」は、年1例あるかないか(2024年はゼロ)
④の「メッシュトラブル」は、ここ3年ほどメッシュを使ってないから、今では無関係の立場になったと言えます。
よってこのへんは、「ほぼ克服できた」と言えるんじゃないかと。
(もちろん、これからも絶対大丈夫という保証は無いですが)
ワタクシも例にもれず、かつては・・・
①③④のトラブル、いずれも何度か経験してきたのですが
原因を考え抜いて、有効そうな仮説を見つけて検証繰り返し、成功したものを言語化マニュアル化。
この作業を延々と繰り返して、現状に至っているということですね。
残るは、②の「術中出血」です。
「穿刺(せんし)」と言って、靭帯に糸を通す作業があるんですけど、この時に出血することがあるんです。
これは経験数2000例を超えた直近1~2年でも、時々遭遇していたトラブルです(頻度は数百例中1例といったレベルですが)
これも他のトラブルと同様に・・・
原因を考え抜いて、有効そうな仮説を見つけて、検証する作業を続けています。
今のところ検証は上手くいっており、順調に症例を重ねてますが
ほんとに「克服できた」と言えるには、これから500例1000例の蓄積が必要ですね。
気の長い話ではありますが・・・
たぶん我々しかできないことだと思うので(笑)、やり続けていこうと思ってます。
以上です。
これだけ長く医師業やり続けてきたのに、いまだにこんなやりがいある作業に取り組めてるのは、有難いことかもしれませんね(笑)
赤木一成
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科