直腸瘤の手術は二種類あります。あなたに適した方法はこちら。

  • 2020年7月20日
  • 2020年10月12日
  • 直腸瘤

 

わたし、直腸瘤で悩んでるんです。

便秘薬で治療を続けてきたけど、全然よくならなくって、手術を考えてるんです。

手術には二種類あるって聞いたんだけど、私にはどっちがいいのか教えてくださいな。

 

こんな疑問に答えます。

 

 

今回は、医学専門誌「手術」に掲載された私の原稿「直腸瘤の手術」から、その内容をわかりやすく解説してみます。

 

直腸瘤の手術は大きくふたつ(経腟手術経肛門手術)に分けられますが、そもそもこの両方の術式を手がけている病院は、全国的にもほとんど無い(と思う)のが現状です。

婦人科医は経腟手術、大腸肛門外科医は経肛門手術といった具合に、自分が慣れたやり方に徹しているわけですね。

 

直腸瘤の手術には、経腟手術と経肛門手術があり、どちらも長所短所があります。

まずは結論から。

  • 膣壁の膨隆(膣側からでっぱってくる)が主訴であれば、経腟手術。
  • 排便障害(便が出にくい・残便感)が主訴であれば、経肛門手術。

 

私は原則として、こんな方針でやっています。

(主訴とは、患者さんが一番つらいと思っている症状の事です)

 

もちろんこれはあくまでも原則なので、一人一人の状況に応じて、本人と話し合いながら、方針を決めていくことになります。

 

直腸瘤の経腟手術は、膣側の膨隆を治すのが得意ですが、性交障害の可能性があります。

経腟手術は、膣壁を切開して縫合する手術です。

膣側のでっぱりを治すには、膣側から手を付けるのが効率的なわけですね。

 

この方法は、膣壁を切って縫うわけですから、傷跡ができます。

性生活に支障(違和感・痛み)が起こる可能性があるわけですから、若い年齢の人には行いません。

 

「膣壁の膨隆が主訴で、ある程度年齢の高い方」にぴったりの方法ということになります。

 

直腸瘤の経肛門手術は、性交障害は起こりませんが、膣壁の膨隆を治す効果は弱いです。

経肛門手術は、肛門側から直腸壁を縫い縮める手術です。

 

膣壁に手を付けないので、性交障害が起こりません。

ただし膣壁の膨隆を治す効果は、経腟手術より弱くなります。

 

私の場合、排便障害が主訴の方では、年齢に関係なく経肛門手術を選択しています。

また、膣壁の膨隆が主訴であっても、性生活を考慮すべき若い人であれば、この経肛門手術を選択することがあります。