おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科の赤木一成です。
週末は「一週間の骨盤臓器脱手術記録」を書いています。
これはリアルタイムの記録ではなく、ちょっと前の「一週間のできごと」の記録です。
子宮脱や膀胱瘤の手術を6例行いました。
子宮脱+膀胱瘤の手術を6例行いました。
いつも通り問題なく経過し、みなさんほぼ予定通りに退院されました。
骨盤臓器脱手術の入院期間は、一週間です。
でも「快適だから、もうしばらくゆっくりしたい」という方もときどきいらっしゃいます(笑)
ベッドに空きがあるなら、もちろんOKです。
相談してみてくださいね。
痔核根治手術を1例行いました。
痔核根治手術を1例行いました。
わたくしこれまでに、5000件以上の肛門疾患手術を手がけてきています(証拠です・・・)
ただ最近では、骨盤臓器脱の手術で手いっぱいなので、肛門疾患の手術はあんまり行っていません。
※ただし、「骨盤臓器脱+痔核」の同時手術↑は、しょっちゅうやってます。
今回は患者さんからのご指名と言うことで、私が痔核手術の術者を務めさせていただきました。
痔核の手術は突き詰めると難しい。
新人外科医がまず習得する「3つの手術」というものがありまして、これを「アッペ、ヘモ、ヘルニア」といいます。
アッペは「虫垂炎」のことで、いわゆる「盲腸」です。
ヘモは、この「痔核」ですね。
ヘルニアは「鼠経ヘルニア」のことで、いわゆる「脱腸」です。
「痔核の手術って、新人外科医向けなんだから、簡単なんでしょ?」と思われるかもしれませんが、さにあらず。
この痔核手術って、ただ単に痔核を取るだけなら、それほど技術的にむずかしいものではありません。
60点とればいいのであれば、確かに新人外科医でも可能です。
でもこの手術、100点を目指そうとすると、限りなく難しいんです。
痛み・腫れ・難治創(治らないこと)・狭窄(せまくなること)・再発・出血・感染など、痔核手術では多くの「クリアすべき課題」があります。
100点を目指すのであれば、これらの課題を一つ一つクリアして、すべてを高いバランスで調和させなければいけません。
しかも肛門は、排便のために休めないから、想定外の事態も起こりやすいんです。
そのため近年では、この痔核根治手術は、大腸肛門科の専門病院に集約される流れにあります。
また最近では「ジオン」という注射薬が普及して、大腸肛門科専門クリニックの日帰り治療も増えてきました。
かつては新人外科医が手がけていたのが、今ではエキスパートが手がける治療となったということですね。
医療はどの領域も、専門分化の流れにあるということでしょう。
痔核の手術は、術者の技量差があらわれやすいと思っています。
この痔核手術って、術者の技量によって明らかな差があります。
慣れない術者がやると、正しい層が分からなくて、たくさん出血して、止血に手間取って、1時間近くかかって、術後はひどく腫れて、強く痛んで、なかなか治らず、ときに狭くなったりして、何年かあとに再発する・・・
一方エキスパートがやると、正しい層をサッサッと剥離して、出血せず、あっという間に終わって、傷もきれいで、痛みも軽く、治りも早く、自然できれいな形に仕上がり、再発も無い・・・
どっちの手術も見てきた自分が言うんだから、間違いないです。
今回の痔核手術では、術後も特に問題なく経過し、予定通り退院していきました。
赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科