経腟メッシュ手術(TVM手術):進化の経緯と現在のスタンス

「お値段以上ニトリ」って歌う猫がいると聞き・・・(笑)

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。

 

今回は、久しぶりに「メッシュ」のお話をさせていただきます。

よろしければ、お付き合いください。

 

メッシュを使いたくないけど大丈夫?

「メッシュを使わない手術を受けたい」

こう希望して、遠方から受診してこられる方が、ときどきおられます。

 

 

はい。お任せください(笑)

↑経腟手術であれば、まず確実に、メッシュを使わずに治すことができます。

 

昨年ワタクシが手がけた骨盤臓器脱経腟手術が281例ありまして、そのうち280例では、メッシュを使わずに治すことができていました(参照

 

一方、↑経腹手術(腹腔鏡下仙骨膣固定術)を受ける場合には、いまだにメッシュが必要です。

 

メッシュ進化の経緯、そして現在のスタンス。

メッシュは徐々に小さくなってゆき、最終的に消えた。

 

画像引用

 

メッシュって、プラスチック繊維を編み込んで作った医療用シートのことです。

やっぱり異物ですから、体内に一生留置するのは不安に思う方がいるようですね。

 

当院が骨盤臓器脱手術に参入したのは、2010年です。

このころは経腟メッシュ手術(TVM手術)が全盛期で、「TVM研究会」という会合がありました。

 

当時は当院でも、TVM手術を第一選択として行っておりました。

 

 

 

↑初期には「大きいメッシュ」が主流で、当院もこのタイプのメッシュを使っていました。

 

そして時とともに、「メッシュの必要性が高い場所」「そうでない場所」の違いが分かってきて、メッシュは徐々に小さくなっていきました。

数年の歳月を経て、メッシュは極限まで小さくなっていきました。

 

そこからさらに工夫を重ねた結果、最終的にメッシュを使わなくても、メッシュ手術と同等の効果が得られる方法が確立されました。

 

現在当院では、ほぼ全例にこの「メッシュを使わない経腟手術」を行うようになっています。

 

じゃあもうTVM手術は必要ないってこと?

 

いえいえそんなことありませんよ。

現在でもたまーに、メッシュを使った方が有利と思われるケースがあるんですよね(全体の1%以下ですが)

だから、もし経腟手術でメッシュが使えなくなったら、やっぱり困る局面があるでしょう。

 

 

現在ワタクシ、ほぼメッシュを使わなくなりましたが、いまだにTVM手術には肯定的な立場なんです。

 

これまで数百件のTVM手術を行ってきたんですけど、この手術ってメリット多いんですよね。

術式はシンプルだし、子宮も温存できるし、再発も2%程度と少なかったんです。

 

 

TVM手術で時々起こるトラブルって、「↑メッシュ露出」くらいだったんです。

2%くらいの頻度で起こるんですけど、これは露出したメッシュを切り取るだけで良くなるので、対処は難しいものではありません。

 

 

ということで当院では現在、経腟手術を行う際には・・・

  • 原則メッシュを使わずに治す。
  • どうしても必要なケースに限り、最小限にメッシュを使う。

このようなスタンスで取り組んでます。

 

このへんは、病院によって考え方が様々なんですけどね。

 

 

赤木一成

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科