子宮脱って自然に治るの? 骨盤底筋体操ってやる意味ある?

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。

 

今週のテーマは、「骨盤底筋体操」です。

よろしければ、お付き合いください。

 

子宮脱って自然に治るの? 骨盤底筋体操でよくなる?

 

これって、とっても多い質問の一つです。

自然に治ったり、体操でよくなるんだったら、それに越したことはありませんからね。

 

でも、これらの質問に対する回答は・・・「NO」です。

 

以下、詳しく触れてみます。

 

子宮脱は自然に治ることはありません。

子宮脱に限らず、あらゆる骨盤臓器脱(膀胱瘤・直腸瘤・膣脱)は、自然に治ることはありません。

ずっとこのままか、悪化していくかのどちらかです。

 

いったん脱出してきた以上、手術やペッサリー等、なんらかの対処が必要というわけですね。

 

骨盤底筋体操も現実的じゃないと思っています。

 

「骨盤底筋体操を続ければ、少なくとも進行は食い止められるんじゃない?」

 

そう思う方も、いらっしゃるかもしれませんね。

 

骨盤底筋体操って「筋トレ」ですから、熱心にやり続ければ、たしかに一定の効果はあるかもしれません。

 

 

 

でもですね・・・

体操をずっと続けていく自信がありますか?

80代とかになっても、体操を続けていくことができますか?

 

もしあなたが、20年30年と日常的に運動してきた人であれば、「YES」と言う資格があるのかもしれませんね。

でもそんな人って、実際どれだけいるんでしょうか?

 

ということでワタクシ、「骨盤臓器脱に対する体操」に関しては、懐疑的な立場です。

 

骨盤底筋体操を提案するケースもありますが・・・

 

ワタクシが体操を提案するのは、「軽度の骨盤臓器脱」の方だけです。

でもこれだって、積極的にお勧めしているわけではありません。

 

手術やペッサリーの対象でもないし、わざわざ受診してくれた人に「何もしなくていいですよ」とも言いづらいから、消去法で「体操」になってるだけなんです。

 

じゃあ、骨盤底筋体操は存在価値が無いの?

 

いえいえ、そういうわけではありませんよ。

 

ワタクシが唯一、体操が有効だと思っている状況があるんです。

それは、「骨盤臓器脱術後に生じた尿失禁」に対する体操です。

 

 

このような患者さんに、骨盤底筋体操を開始してもらうと、高率で尿失禁が改善してくるんですよね。

 

体操期間の目安は、3か月です。

3か月体操しても改善しなければ、次の手(TOT手術)を考慮します。

 

 

 

ということで、以上まとめますと・・・

骨盤臓器脱に骨盤底筋体操を行うのは、あんまり意味が無い。

骨盤臓器脱術後の尿失禁に、骨盤庭訓体操を行うのはおススメ。

私はこう思っています。

 

 

赤木一成

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科