わたしの祖母は、子宮脱と直腸脱があるんです。
手術を希望してるんだけど、もう90歳なんです。 この年でも手術は受けられますか? |
こんな疑問に答えます。
おはようございます。
当院では年間400例の子宮脱手術や直腸脱手術を行っているんですけど、高齢の方も多くいらっしゃいます。
なかには90代の方もいるんですね。
今回は高齢者の骨盤臓器脱手術についてお話しします。
子宮脱ならペッサリーで対処できるかも。いっぽう直腸脱は手術が必要です。
子宮脱や膀胱瘤のような、膣から脱出する骨盤臓器脱であれば、ペッサリーで対処できるかもしれません。
そんなに苦痛が強くないことが多いし、ペッサリーが合えばそのまま経過を見ていけるんですね。
(ただし一生ペッサリーを続けるのは難しいですが)
いっぽう直腸脱は、肛門から脱出する骨盤臓器脱です。
これはペッサリーのような装具が使えないし、苦痛が強いので、どうしても手術が必要になるんです。
たとえば超高齢者で心臓が悪くて、「手術のリスクが高いです」と言っても、「命落としてもいいから手術したい」なんて言うのは、たいてい直腸脱の方なんですね。
子宮脱とか膀胱瘤の患者さんで、こんなこと言う人って、私の記憶ではまず無いです。
全身状態の検査を行って、麻酔が可能であれば、手術できます。
手術を希望される場合には、まず術前検査を行います。
心臓や肺の検査、そして血液検査などを行います。
麻酔をかけても大丈夫かどうか、いろんな検査で判断するんですね。
この検査結果をもとに、私と麻酔科ドクターでダブルチェックを行い、手術可能かどうかを判断します。
よほど重大な合併症が無い限り、ほとんどの場合は、予定通り手術が可能です。
もし重大な合併症が見つかった場合には、まずそれを改善しなければいけません。
心不全とか、重度の貧血とか、高齢者ではいろいろ見つかることがあるんです。
専門家に治療依頼して、状況が改善したら、手術を行うことができるようになります。
90代の高齢者でも、子宮脱とか直腸脱の手術をしてますよ。
麻酔に耐えられると判断すれば、年齢に関係なく、90代でも手術をやっています。
超高齢になっても元気な人って、ときどきいるんです。
たとえば90歳近くになっても、茶道師範とか農家とかで、現役を続けてる人がいます。
こういう人ってすごいです。
60代かと思うくらい、元気でしっかりしてて、受け答えもばっちりです。
そして小柄な方だと、風のように歩いていくんです。
いっぽう大柄な方は、膝とか腰が悪くて、あんまり動かないんですね。
こういうお方を見ていると、「生涯現役って大事なんだなー」と思います。
そして、「年取ったら小柄なほうが有利なんだなー」と思ったりもします。
最後の方はちょっと脱線でした・・・
赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科