骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
今回は「骨盤臓器脱手術のメリットデメリット」について、お話してみます。
ただこの質問って漠然としてるから、一言で回答しにくいんですけどね・・・
目次
骨盤臓器脱手術を受けるメリットは、当然「治る」ということです。
これはまあ、あたりまえですね。
最近では、骨盤臓器脱(子宮脱や膀胱瘤)の手術を行った方は、ほぼ全員再発無く治せるようになっています。
年間200例以上の骨盤臓器脱手術を行っておりますが、再発して再手術になるケースは、年間一人いるかいないかという感じです。
手術で骨盤臓器脱が治れば、ほぼ確実に、苦痛から解放されるわけです。
ペッサリーの違和感とか、おりものとかも、当然なくなります。
退院後は何回か、経過観察の通院が必要ですが、その後は通院も不要となります。
いままで我慢してたプールや温泉や旅行にも行けるようになりますよね。
デメリットは、おおきく3つに分けられます
つぎは骨盤臓器脱手術を受けるデメリットです。
日程をあける必要がある
まず入院手術について。
一週間程度の入院が必要なので、スケジュールの都合をつける必要があります。
入院手術を受ける場合、入院前に2~3回通院して(診察や術前検査のため)、それから一週間入院します。
退院後は2~3回ほど通院すれば卒業です。
つぎに日帰り手術について。
日帰り手術だと、手術に割く日程は1日で終わります。
ただし術前検査の来院とか、術後の通院とかは、入院手術と変わるところはありません。
しばらく生活制限が必要
手術を受けた翌日から、歩いたり食事したりできるようになります。
また痛みがとれて自信がつけば、術後何日かすれば家事買い物をしたり、事務仕事などができるようになります。
ただし運動や力仕事は、しばらく避ける必要があります。
これは、手術後の説明用紙で、詳しく説明しています。
合併症の可能性
次は合併症の可能性についてです。
ここ数年では、手術を受けた99%の方が、大きなトラブル無くほぼ予定通りに退院できています。
(「排便排尿の調子が落ち着かない」とか「まだ痛みが残る」とかで、1日~2日ほど退院延長になるのは、「ほぼ予定通り」に含めています)
輸血を要する多量出血とか、臓器損傷で再手術とか、そんな大きなトラブルを起こす頻度は500人中1人以下です。
長期的な合併症についてはどうでしょうか。
私の経腟手術ではメッシュ(異物)を使わないので、メッシュ露出などのトラブルは起こりません。
再発以外の長期トラブルは、特に無いと考えていいでしょう。
費用は、長期的には手術を受けたほうが安いかも。
入院や手術は、すべて保険診療で行っています(保険がききます)。
また費用が一定額を超えるようであれば、高額療養費制度からの給付額が出ます。
ペッサリーで定期的に通院するとどうでしょう。
受診料+交通費で、一回の受診あたり3000~4000円かかるとして計算すると・・・
年3回くらい通院が必要なので、1年あたり1万円ほどかかるでしょうか。
だからペッサリーで長年通院するより、早めに手術を受けた方が、結局安くなる可能性が高いです。
赤木一成 骨盤臓器脱外科医師