骨盤臓器脱術後:退院後の診察。よくある訴え。医師は何を見てるのか。

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。

 

今回のテーマは、「退院後の診察」です。

 

退院後によくある訴えはなにか。

そして診察時に、ワタクシがなにを見ているのか。

こんなこと、気になりませんか?

 

今回はこの件について解説させていただきます。

 

退院後の受診時期

 

初回の退院後診察は、退院後3週間目です。

二回目の診察は、それから3か月後・・・という感じになります。

 

いろいろ試行錯誤して、「これくらいが手頃かなー」という日程に落ち着いて、現在に至ります。

 

退院後診察時によくある訴え、そして私が見ていること。

 

おりもの

退院後初回の訴えで、最も多いのは、「まだおりものが出る」です。

あと、「まだ血が付く」という訴えも、ときどきありますね

 

傷が治るまで2か月くらいかかるから、それまではおりものや出血が続いても、問題ないですよ。

 

排尿異常

 

「排尿が落ち着かない」「尿が漏れるようになった」

 

こう訴える方も、ときどきいらっしゃいます。

手術で膀胱が刺激を受けて、さらに下がってた膀胱の位置が元に戻ることで、こうなるわけですね。

 

膀胱炎だったり、過活動膀胱だったり、残尿が多かったり、腹圧性尿失禁だったり、原因はいろいろです。

 

まず検査を行って(検尿、残尿測定など)

それから対処を行います(抗生物質、過活動膀胱の薬、残尿を減らす薬、骨盤底筋体操など)

 

たいていは、時間とともに良くなってきます。

 

便秘

 

便秘は、入院中のトラブルで一番多いものなんだけど、退院後に便秘で悩む人は希です。

下剤のコントロールがつくようになってて、さらに元の生活環境に戻るからでしょうね。

 

下剤は、希望に応じて追加処方を行います。

便の状態を見ながら、少しずつ減らしていってかまいません。

 

痛み

 

手術ですから、術後数日はだれでも多少の痛みがありますが・・・

退院後初回の受診時には、痛み止めの薬を希望する人は希です。

 

そして2回目の受診時には・・・

痛みを訴える方はいなくなります。

 

創の癒着

 

ここからは、患者さんの自覚症状は無くって、「医師が診察して気付くこと」になります。

 

 

ときどきあるのは↑「創の癒着」です。

膣の前後壁にある創(傷)が、くっつきやすい人がいるんですね。

 

患者さんは自覚症状も無いし、(性生活が無ければ)日常生活にも支障はないんだけど・・・

将来「子宮がん検診」を受ける時の邪魔にならないよう、対処を行うようにしてます。

 

この癒着は、指で容易にはがせるので、はがして止血処置を行って終わりです(診察する際に数分でできます)

 

メッシュトラブルの懸念はなくなった

 

かつて経腟手術でメッシュを使っていた時代には、たまーに「メッシュ露出」というトラブルが起こっていました。

 

膣壁からメッシュが露出してくると、自然には治らないので、それを切り取る処置が必要だったんです。

 

でも技術が進化して、現在はメッシュを使わなくなったので、この懸念がなくなりました。

これは昔と比べて、気が楽になった点ですねえ(笑)

 

 

赤木一成

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科