骨盤臓器脱の手術:まれに手術をお断りすることだってあるんです。

 

わたし、軽度の膀胱瘤で、脱出はしないけど違和感があります。

先生に「手術は必要ない」と言われたけど、手術を受けたらこの違和感はよくなる気がします。

手術をやってくれますか?

 

こんな疑問に答えます。

 

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科の赤木一成と申します。

 

私これまでに、1350人を超える骨盤臓器脱の手術を請け負ってきたんですけど、「患者さんが手術を希望してもお断りしたケース」だってたまにあるんです。

 

それはどんな患者さんなのかと言うと、「手術すれば確実に症状がよくなる」と確信できない患者さんなんですね。

 

医師が手術を請け負うのは、「手術すれば確実に症状が改善する」と確信できる場合だけです。

ご存じ、仕事を引き受けたら必ず結果を出す男・・・

 

たとえば大腸がんとかの悪性疾患であれば、症状のあり無しに関わらず、全員に手術を勧めます。

そして医師が手術を勧めたら、まず間違いなく全員が同意してくれます。

これはまあ、当たり前ですね。

 

いっぽう、骨盤臓器脱とか痔核とかの良性疾患では、また違った感じになります。

本人が手術を希望しても、「手術したら確実に症状が改善する」と確信できない場合には、手術をおすすめしないんです。

医師が手術を請け負うのは、「手術すれば確実によくなる」と確信できた場合だけなんです。

 

たとえばごく軽度の膀胱瘤とかで、診察してもあまり脱出してなくて、違和感を訴えるようなケースがあります。

このような場合、骨盤底筋体操だけで、経過観察をおすすめしています。

 

ぶっちゃけ、「手術しても症状が良くならない。どうしてくれる!?」と言われるのを、医師は恐れます。

 

「本人が手術を希望してるんだから、やってあげればいいんじゃないの?」と思う方もいるかもしれませんね。

 

でもこんなケースで手術をしてしまうと、「手術しても症状が良くならない。どうしてくれる!?」という展開になりかねないんです。

医師はこういう展開になるのを恐れるわけですね。

 

だから「明らかに脱出してない場合」には、手術はおすすめしません。

まず骨盤底筋体操で様子を見ましょう。

 

何年かたって明らかに脱出してくるようになったら、その時に手術を受ければいいんですから。

 

赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科