わたし、子宮脱の手術を受ける予定です。
仕事でちょっと重いものを持つんです。 どれくらい安静が必要なのかしら? |
こんな疑問に答えます。
おはようございます。辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
子宮脱や膀胱瘤などの骨盤臓器脱手術を受ける場合に、いちばん多い質問の一つが、この安静期間です。
事務仕事の人ではあまり問題にならないけど、力仕事の人では、安静期間が気になりますよね。
今回は、術後にどれくらい安静が必要なのかについて、説明いたします。
骨盤臓器脱手術後の安静は、最近あまり重視してないんです・・・
かつて重度の子宮脱は、再発するリスクが高かった。
まず、どんなタイプの骨盤臓器脱が再発しやすいのかを、お話ししましょう。
上図の左側は普通の子宮脱、右側は重度の子宮脱です。
わたくしこれまでに手がけた、約1400人の子宮脱膀胱瘤の手術のうち、再発した方が30人ほどいます。
私の経験上、再発しやすいのは、右側のような重度の子宮脱なんです。
かつてはこのようなタイプの子宮脱に、苦労していました。
でも最近では技術が進化して、めったに再発しなくなりました。
↑これは、メッシュを使う子宮脱手術(TVM手術)の内容を示したものです。
初期のやりかたでは、このメッシュのアームを、靭帯に貫通していました。
アームの摩擦力で、子宮を挙上していたわけです。
そうすると重症の子宮脱では、重みでアームがずれてきて、再発してしまうんですよね。
とくに肥満で腹圧が高そうな人は、再発リスクが高いんです。
だからこのような人では、術後の安静期間はしっかり守っていただくように、念押ししてました。
「かならず二か月間は安静を保ってください」と言ってたんです。
でも近年では技術が進化して、重度の子宮脱では、↑アームを固定するようになりました。
最近ではさらに進化して、メッシュを使わず、子宮を靭帯に固定する術式↑が主流です。
こういった技術革新を繰り返して、いまでは術後再発をほとんど経験しなくなっています。
だから最近では、安静期間については、あまりうるさく言わなくてもいいんじゃないかなーと思っているんです。
混乱を避けるため、いちおう「全員二か月」で統一してます。
↑これ、辻仲病院の患者さん用のお風呂です。それはさておき・・・
術後の安静期間は、ひとりひとり異なるのが当然ですよね。
デスクワークの人と、介護で重い体を持ち上げる人とでは、安静期間が同じというわけにはいきません。
でも人によって安静期間を変えてしまうと、混乱が生じてしまいます。
だから混乱を生じないように、いまだに「二か月」で統一してます。
最近は「力仕事」による再発を経験していないので、これでいいんじゃないかなーと思っています。
将来的に、もっと短くなっていくかもしれませんね。
赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科