「受診上手なAさん」と「・・・なBさん」(笑) 今週の手術は8例

当院8階のカフェです。眺めがいいですよ・・・

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。

 

週末なので、「一週間の骨盤臓器脱手術記録」を書きます。

患者さんを特定できないよう配慮して、数週間前の日常を描写しています。

 

手術を8例行いました。

この週は、子宮脱+膀胱瘤の手術を7例行いました。

 

あと、TOT手術を1例行いました。

 

現在、ワタクシの骨盤臓器脱(子宮脱や膀胱瘤)手術枠は、週7例です。

あとは軽度直腸脱とかTOT手術みたいに、腰椎麻酔(下半身麻酔)で短時間でできる手術を1~2件ですね。

 

多くの方をお待たせしてるんですけど(ごめんなさい・・・)、これ以上件数増やすのは難しいですね。

手術室もギチギチだし、私も手いっぱいになっていますから。

 

まあ、無理して自分が倒れたら台無しなので、今のペースでコツコツやり続けていこうと思ってます。

 

骨盤臓器脱外来:「上手な受診」について

 

今回はいいネタが見つからなかったので、むかし経験した二人の患者さんについて、お話をさせていただきます。

よろしければ、お付き合いください。

 

対照的な2タイプの患者さんが、たて続けに受診されたことがありました。

印象的な出来事だったので、その風景を描写してみます。

 

やりやすかったAさん

とある日の、骨盤臓器脱外来の風景です。

60代のAさんが、診察室に入ってきました。

 

ワタクシ「今回はどうされましたか?」

 

Aさん「子宮がん検診を受けた時に、子宮脱があると言われました」

 

こういうふうに、要点だけ簡潔に話してくれる人は、テンポよく進むから助かります。

 

 

 

「結論から話せ、要点だけ話せ」

新入社員のとき、上司からこう指導されますよね。

私も新人の時、オーベン(上司)から度々言われてました。

 

Aさんのような方は、この姿勢が身についておられるのでしょう。

 

その一方でBさん・・・

Aさんの診察が終わって、次にBさんが入ってきました。

偶然にも、Aさんと同い年でした。

 

ワタクシ「今回はどうされましたか?」

 

Bさん「いやあのね話せば長くなるんだけど、道が混んでて病院につくまで時間かかって大変だったのね。夫が道を間違えてほんといやんなっちゃう。柏は初めてだからわかんなかったのよね。それはまあいいとして私3人目が難産で、次男は4000gだったんですけど、長男と長女は普通だったんですけど、それからしばらく体調が悪かったんですけど、この前主人と北海道に行って犬は預けてきたんですけど、犬の名前はポチって言うんですけど、それはまあいいとして北海道旅行の時は調子よかったんですけど、帰ってきたころからまた調子がわるくなって、病院に行こうと思って、どこがいいのか分からなくって、私ネット使えないから息子が調べてくれたんですけど、そして息子がここを受診したほうがいいんじゃないかと言ってくれたんですけど、そしてしばらく迷ってお友達にも相談してやっと受診を決心したんですけど、そのお友達も先生に診てもらったことがあるみたいなんですけど、近所にも婦人科の病院があるからそこを受診しようか悩んだんですけど、やっぱり専門の先生に診てもらおうと思ってきたんですけど、予約してから受診日までけっこう待たされたんですけど、こんなところ見せるのは恥ずかしくて思い切ってやってきたんですけど、この前テレビでも見たから自分もそうじゃないかと思うんですけど、半年くらい前から子宮が下がってくるみたいなんです。だから体操をしようと思って、本屋に行って色々本を調べて、便秘しないように料理レシピを参考にして、作ってみたけれど息子にはあんまり評判よくなくて、息子は嵐の〇宮君に似ててなかなかイケメンなんだけど、本人は結婚する気もないみたいで、だから私がいまだに食事を作ってて・・・」

 

延々と話し続けられるうちに、↑頭の中が真っ白になってきました・・・

 

途中で話をさえぎろうとしたんですけど、息継ぎを瞬時に終えて次のフレーズを話し始めるので、とどめることができません。呼吸は大丈夫なんでしょうか・・・

 

やっと話に一区切りついた時点で、ワタクシの頭に残ってたのは、下線のところだけでした。

あれだけしゃべったんだけど、カルテには「半年前から子宮が下がってくる」とだけ記載。

 

ベテラン内科医の話術力

 

内科のベテラン先生は、こういう時の対応が上手いんですよね。

 

患者さんに延々と話をさせることなく、それでいて患者さんに不満を抱かせることなく、診療に必要な情報を短時間で抽出しちゃうんです。

 

外来一筋でやってきた内科職人の話術力、見てると唸らされます。

 

いっぽう私は、そこまでの話術力を持ち合わせていないので・・・

患者さんの話が長くなりそうと察知したら、「まず診察しながら話を聞きましょうか」と途中でさえぎって、診察台に移動させちゃうことがあります(ごめんなさい)

 

よーするに(笑)

 

ということで、結論です。

 

骨盤臓器脱って、見れば分かる病気で、知りたいことの大半は問診表に記入されてるから・・・

私から質問されたら、Aさんみたいに簡潔に一言で答えてくれれば十分ですよ(というかその方がありがたいです)

 

Bさんみたいに延々と詳しくしゃべられても、ワタクシの頭にはごく一部しか残らないです・・・(笑)

 

 

赤木一成 

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科