先生、質問です!
うちでは子宮脱や直腸脱の手術を、たくさんやっていますよね。 直腸脱の再発手術はときどきあるけど、子宮脱の再発手術って見ないです。 やっぱり再発のしやすさは違うんですか? |
病棟看護師さんの、こんな疑問に答えます。
おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科の赤木一成です。
「再発率」って、手術を受ける方がいちばん気にすることだと思います。
今回あらためて取り上げてみることにしました。
子宮脱や膀胱瘤手術の再発率は、近年ほとんど0に近づいています。
子宮脱膀胱瘤の手術は年々進化して、現在のやり方に定着したのが、2017年秋ごろです。
だからこの期間で調べてみました。
そこから現在までに、わたくし600例以上の手術をおこなっています。
このうち再発で再手術を行ったのは、いまのところ2例です。
2/600で、だいたい0.3%ということですね。
この再発率って、長期的にはもう少し増えてくると思われますが、それでも1%くらいに落ち着くんじゃないかと思っています。
いっぽう、直腸脱手術の再発率は10%くらいです。
直腸脱は、医学雑誌「手術」に掲載されている、私の論文の内容↓から抜粋してみます。
ここ数年の通算再発率は、10%くらいです。
子宮脱膀胱瘤の手術と比べて、明らかに再発しやすいのが分かります。
子宮脱より直腸脱の方が、手術で治すの難しいんです。
ということで、骨盤臓器脱より直腸脱の方が、再発しやすいということです。
これって、現場の感覚と一致しています。
子宮脱や膀胱瘤は、↑どれだけ重症であっても、「手術すればまず確実に治せる」と思ってやってます。
いっぽう直腸脱は、「誰でも再発する可能性がある」という感じでやってるんです。
ここ10年の技術進化で、子宮脱膀胱瘤の再発については、ほぼ克服できたと考えています。
いっぽう直腸脱の再発問題は、散々苦労してきたけど、なかなか0に近づくという感じになりません。
これまで骨盤臓器脱領域において、数十個のテーマを設定し、ひとつひとつ克服してきました。
いまだに生き残っているテーマ(=完全克服に向けて注力している課題)が二つありまして、その中の一つが、この「直腸脱の再発」です。
まさに「強敵」ですね。
これからも真正面から取り組んでいくつもりです。
赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科