たまーに、骨盤臓器脱外来を受診された方から、「自分で治すことはできないか?」という質問をいただきます。
今回は、この質問に対する回答について、私の考えをお話していこうと思います。
目次
骨盤臓器脱を自分で治すのは非現実的
いきなり結論ですが・・・
骨盤臓器脱を自分で治すのは、非現実的。
体操を頑張って改善しても、いずれまた脱出してくるだろう。
私はそう考えています。
以下、私の経験に基づいた考えをお話いたします・・・
軽症の骨盤臓器脱では、骨盤底筋体操を勧めるのが一般的
軽症の骨盤臓器脱で、手術は必要ない(軽症だと手術がやりにくいので、まだ手術はやらない方がよい)
ペッサリーを入れるほどでもない。
そんな人には、骨盤底筋体操を始めていただくのが一般的です。
「治す」目的でやるんじゃなくって、あくまでも「進行を予防する」という意味合いですね。
・・・でも実際には、骨盤臓器脱を体操で対処するって、現実的ではないと思っています。
体操自体は有効かもしれないけど、「ほんとに継続できる人がいるのか?」と思ってるんですね。
ある程度進行した骨盤臓器脱では、体操は無意味です
骨盤臓器脱に対する骨盤底筋体操は、↑ごく軽症のケースだけが対象です。
ある程度進行した骨盤臓器脱では、体操をやっても意味がありません。
手術やペッサリーなどの対処法が必要です。
体操で骨盤臓器脱が改善しても、いずれまた下がってくるのでは?
もし体操が有効で、骨盤臓器脱が改善したとします。
でもそれって一生改善した状態が続くんでしょうかね?
わたしは「それって不可能じゃないか?」と思っているんです。
いずれまた下がってくるんじゃないでしょうか。
だったら若くて元気なうちに治してしまった方がいいと思うんです。
(反論が来るかもしれませんね。あくまでも私の意見です)
そもそも、体操をずっと続けられる人なんてほぼいないと思ってます
画像引用:トレーニング継続率
↑これは、フィットネス業界では有名な資料です。
フィットネスセンターで筋トレを1年間続けられる人は、わずか3.7%というデータです。
フィットネスセンターに行くような、元気が良くて、やる気のある人ですら、こうなんです。
骨盤臓器脱に対する体操は、何か月も何年も続ける必要があります。
こんなこと言ってはなんですが、骨盤底筋体操をそんなに継続できてる人って、いるんでしょうかね?
ぶっちゃけ、私はほぼいないと思ってます。
ただし「骨盤臓器脱手術後に生じた尿漏れ」に対する体操は、話が別です
ただし上記とは別に、わたしが有効と思っている体操があります。
「骨盤臓器脱術後に生じた尿漏れ」に対する体操がそれです。
参照:骨盤臓器脱(膀胱瘤・子宮脱)の術後に尿が漏れる? 原因と治し方。
このような場合には、まず3か月間、骨盤底筋体操を開始してもらいます。
そして実際に、体操で尿漏れが良くなってくる人が多いんです。
だから「骨盤臓器脱術後に生じた尿漏れ」に対しては、まず骨盤底筋体操で対処する方針としています。
赤木一成 骨盤臓器脱外科