おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科の赤木一成です。
わたくし、年間200件を超える骨盤臓器脱手術(子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤など)を手がけています。
この手術の前に、必ず行っているルーチンがあります。
これってどの術者も、自分のルーチンを持っているようです。
自分なりに集中する手順を確立しているわけですね。
イメージトレーニング。
まず、手術日の朝はイメージトレーニングから始まります。
現在8つのフローチャートがあるので、すべておさらいして、手術に臨みます。
このとき電話がかかってくると、電話してきた人には申し訳ないけど、つい無愛想な対応をしてしまいます(ごめんなさい)
トイレに行っておく。
9時ちょっと前に手術室に向かいます。
必ずトイレに行って、用を足しておきます。
手術中にトイレに行きたくなって集中力が落ちるのを防ぐためです。
コップ半分の水を飲む。
コップ半分の水を飲みます。
手術中にのどが渇いて集中力が落ちるのを防ぐためです。
必要に応じて爪を切る。
爪が伸びていたら、爪切りをします。
爪が長いのは当然よくないですが、短すぎてもよくありません。
術中に剥離(はがす)するときに、指先でこするような操作があるんですけど、このとき爪と肉の間がはがれて痛い思いをしたことがあるんです。
だから常に微妙な長さを保っています。
キャップ(帽子)をかぶる。
手術室に入る前に、まずキャップとマスクをつけます。
髪の毛が落ちないように、キャップで覆います。
マスクをつける。
マスクの上縁を、テープで鼻に貼り付けています。
呼気がマスクの上側に向かうと、ゴーグルが曇って集中力が落ちるからです。
マスクのひもは、耳を圧迫しないように気を付けて結びます。
耳が圧迫されると、気になって集中力が落ちるからです。
ゴーグルをつける。
これは目を守るために、必須のアイテムですね。
ヘッドライトを装着。
市販の登山用ヘッドライトです。
ヘッドライトは1万円で買ったものですが、医療用の100万円のヘッドライトと性能は変らないので、10年間愛用しています。
最終的にこんな感じになります。恥ずかしながら・・・
体位を取る。
患者さんを「載石位」という体位(お産と同じ)にします。
つづいて腰の下に枕を入れます。患者さんの腰痛の予防です。
手洗いしてガウンと手袋を着用。
手を洗い、消毒薬で手を消毒します。
手を消毒したら、ガウンを着て、手袋を着用します。
ちゃんとマスクもつけてますよ・・・
高さの調整。
イスの高さと手術台の高さを調節します。
この高さは、微妙な調節にこだわります。
高すぎても低すぎても、操作がやりにくくなって集中力が落ちます。
照明とヘッドライトを合わせる。
天井から下がっている二つの照明(無影灯といいます)を、手術する場所に合わせます。
ヘッドライトもこのときにONにします。
視界は明るく保たないと、集中力が落ちます。
室温を下げる。
スタッフに室温を下げてもらいます。
暑いと集中力が落ちるので、少々寒いくらいが好みです。
音楽はかけない派です。
手術を行う術者は、「音楽をかける派」と「かけない派」に分かれます。
私はかけない方が集中できるので、「かけない派」です。
さあ、始めましょうか・・・
以上、あらゆる手段を尽くして、集中力が低下する原因を徹底的に排除します。
さあ、すべての準備が整いました。始めましょうか・・・
赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科