今週の骨盤臓器脱手術記録:今週手がけた手術は6例でした。癒着で苦労した件。

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科の赤木一成です。

 

いつも通り週末は、「一週間の骨盤臓器脱手術記録」を書きます。

これはリアルタイムの記録ではなく、すこし前の「一週間のできごと」の記録です。

 

子宮脱や膀胱瘤の手術を5例行いました。

子宮脱+膀胱瘤の手術を5例行いました。

 

子宮脱とか膀胱瘤の手術では、術中にトラブルが起こることはまずありません。

ほとんど例外なく、1時間~1時間20分で手術が終わります。

 

術後も大きな合併症はなく、みなさん予定通り退院していきました。

膣脱の手術を1例行いました。癒着で苦労しました。

今週は膣脱の手術が1例ありました。

子宮を取ったあとに、また膣壁が下がってくる状態です。

中に膀胱とか腸が入っています。

 

この膣脱の手術では、膣壁が癒着していることがよくあります。

手術の途中で、膣壁を膀胱から剥離(はくり:はがすこと)するステップがあるんですけど、癒着していると苦戦することがあるんです。

正しい層を見極めて、慎重に剥離操作を進めていきます。

 

慎重にやったつもりでも、膀胱の壁が薄くなってるように感じることがあります。

その場合には、その薄くなっている膀胱の壁を、縫って補強↑しておきます。

 

 

縫った後は、↑尿道に留置した管(尿道カテーテル)から、食塩水を膀胱に入れて、膀胱壁から食塩水が漏れてこないことを確認します。

縫ったところから食塩水が漏れてこなければ、大丈夫です。

 

続いて、↑膀胱鏡で膀胱の内部を観察します。

静脈から色素(インジゴといいます)を注射して、尿管から膀胱へ色素が出てくるのを確認↑します。

膀胱や尿管が異常なく、正常に機能してるかどうか、確認するわけですね。

 

画像引用元

 

問題なければ、↑写真のように、尿管から膀胱へ色素が出てきます。

 

すべて問題ないことを確認して、あとはいつも通りに手術は終了しました。

 

さらに用心のために、おしっこの管(バルーンカテーテルといいます)の留置期間を、2日間延長することにしました。

普段は4日間留置するんですけど、この方は6日間留置にして、膀胱の安静を長目に保つことにしたんです。

 

その後の経過は問題なく、元気に退院してゆかれました。

 

ときにこうやって、苦労する症例があるということですね。

でも徹底的に慎重に対処することで、安全にやれています。

 

赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科