骨盤臓器脱手術で後遺症は大丈夫? 術式の使い分け。今週の手術は6例

↑病棟の廊下です。早朝で誰もいません・・・

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。

 

週末なので、「一週間の骨盤臓器脱手術記録」を書きます。

患者さんを特定できないよう、数週間前の日常を描写しています。

 

子宮脱膀胱瘤の手術を6例行いました。

子宮脱+膀胱瘤の手術を6例行いました。

 

まだ寒いので、水分摂取量が少なくって、便秘になる人がときどきいます。

でもそれ以外はトラブル無く、全員ほぼ順調に経過して、予定通りに退院していきました。

 

骨盤臓器脱手術で後遺症の心配は無いの?

 

後遺症ってなんでしょう? 合併症と何が違うんでしょうか?

 

後遺症って、「手術で生じた不具合が、半永久的に残るもの」のことを言います。

だから「術中術後の出血」とか「しばらく尿が出にくい」とかは、治ってしまえば不具合は残らないので、後遺症とはいいません。

(これは「合併症」になります)

 

骨盤臓器脱術後に起こる後遺症には、どんなものがあるんでしょうか?

当院でもっとも多く行われているメッシュを使わない経腟手術で、説明してみます。

 

結論から言いますと・・・

この手術で「性交障害」を生じる可能性はありますが、それ以外の後遺症はまず起こらないと言えます。

 

異物であるメッシュを使わないので、メッシュ関連のトラブル(露出、感染)は起こりません。

また永続的に続く痛みも、このやり方で起こった人はいません。

 

唯一起こりうる後遺症は、性交障害です。

↑膣壁に手術の傷あとができるので、性交時に違和感や痛みが生じる可能性があるんですよね。

といっても骨盤臓器脱手術を受けるご婦人って、性生活を卒業した60代後半以上の方が大半だから、問題になるケースはそうそう無いんですけどね。

 

ときどき、性生活を重視する若い人がいらっしゃるので、その場合に限って腹腔鏡手術をおすすめしています。

ただしこの手術はメッシュを体内に留置するので、メッシュ露出やメッシュ感染を生じるリスクがあります。

 

骨盤臓器脱のタイプで術式を使い分けたりしないの?

 

骨盤臓器脱の術式は、おおきく経腟手術経腹手術(腹腔鏡手術)に分けられます。

 

かつて、「骨盤臓器脱のタイプで術式を使い分けたりしないの?」という質問をいただいたことがありました。

 

たしかに「重度の子宮脱では腹腔鏡手術を選択したほうが有利」という意見の医師もいます。

 

でも近年当院では、経腟手術の再発がほぼ0となってきたので、重度の子宮脱でも経腟手術を行っています。

 

当院では、経腟手術と腹腔鏡手術の使い分けは、「性生活を重視するか否か」だけで決めています。

このへんは、医師によって考え方がさまざまなんですけどね。

 

赤木一成 辻仲病院柏の葉 骨盤臓器脱外科