おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の、赤木一成です。
今回は、お叱り覚悟で、「肥満」に関する辛口記事をアップしました。
肥満の方は不愉快に思われるかもしれません。このページを即座に閉じたくなるかもしれません。
でも今回の記事は、特にそういった人たちに読んでほしいんです。
肥満はBMIで判定する
肥満度は、BMI(Body Mass Index)で判定されます。
↑上記サイトで、自分の肥満度を計算してみてください。
BMIが25を超えていたら、肥満です。
特にBMIが35を超えるような方は、リスクが明らかに高くなるので、麻酔の診療報酬が高く設定されています。
肥満の人が骨盤臓器脱手術を受ける時にありがちな展開
↑こちらは、当院骨盤臓器脱外来を受診された、Aさんです。
身長は150㎝台だけど、体重が75kgくらいあります。
BMIは30を超えています・・・
診察したところ、子宮脱+膀胱瘤の診断でした。
肥満のために腹圧が高いせいか、子宮がパンパンに脱出しています。
Aさん、手術を希望されています。
こんな時ワタクシ、↑こう申し上げています。
ワタクシは、優しく言うようにしてるけど・・・
当院には、肥満に厳しい態度でのぞむドクターもいますよ。
担当医が私でよかったですね(いや良くないかも?)
術前検査
さてさて数か月後、術前検査の日がやってきました。
手術1か月前に、いろんな検査を行うんです。
以前ワタクシ、Aさんに「10㎏やせましょう」と言ったはずですが・・・
Aさん、体重が前回と変わってません。
ちゃんと減量してくる人って、少ないんですよね・・・
そしてだいたい、↑こんな感じのことを言い始めます。
私は優しいから(?)いいけど、ここで容赦なく手術延期にするドクターもいますからね。
・・・・・・・・・・・・・
術前検査に話を戻します。
この時、肥満の人に見つかりやすいのが・・・
糖尿病と心疾患です。
軽症なら予定通り手術できるけど、重度であれば手術延期して、先にこれらの病気を治す必要があります。
入院当日
さてさてAさん、術前検査をなんとかクリアして、入院してきました。
手術当日に、↑点滴針を血管内に留置して、ルートを確保します。
でもAさん、血管が脂肪に埋まってて分かりづらく、ルート確保が一発で決まらなかったそうです。
「点滴何回も刺された」とブツブツ言ってるけど、そもそも(以下略)
手術
さてさて、手術がスタートしました。
肥満の人は、手術操作も難度高くて、時間を要しがちです。
たとえば↑「穿刺(せんし)」という、狭いスペースで行う作業があるんだけど、肥満の人だと肉が迫ってきてやりづらいです・・・
腹圧が高くて、子宮も下がりやすくなってるから、↑ガッチリ固定する必要があります。
よって、手術時間は長くなりがちだし、痛みも強くなりがちです・・・
術後
Aさん、手術&入院を無事にクリアして、退院となりました。
今日は、退院後初回(退院3週間後)の診察日です。
Aさん、「おしっこが漏れるようになってきた」とのことでした。
これを「腹圧性尿失禁」といいます。
↑膀胱が下がってた時の尿道圧迫(赤矢印)が、手術で解除され・・・
もともと尿道ゆるい人だと尿漏れが起こるんですね。
肥満の人は腹圧高いし、骨盤臓器脱が重症化してると尿道もゆるくなるから、この現象が起こりやすくなります。
まず骨盤底筋体操を3か月やって、改善しなければ尿失禁手術(TOT手術)を考慮します。
でも太っている人は、10㎏やせるだけでだいぶ良くなるはずだから、ダイエットが先決ですよ・・・
以上です。
「ヤバい」と思った人、今日からダイエット始めませんか?
赤木一成
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科