おはようございます。
骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
今回は、「再発症例の手術」について、お話させていただきます。
骨盤臓器脱の術式には、おおきく6種類あって、それぞれに応じた再発パターンがあります。
目次
もっとも多いのは、「従来法」術後の再発
↑これは、20世紀に主流だった、「子宮を取って、奥を固定して(青矢印)、膣壁を縫い縮める手術」です。
「従来法」と呼ばれます。
私が手がける再発症例の再手術で、最も多く見かけるのが、この「従来法」後の再発です。
すべて、他院からの再手術依頼で、紹介されてくるパターンですね。
この従来法、いろんな再発パターンがあります。
↑奥(膣断端)の固定部位が外れて、膣全体が大きく脱出してきたり・・・
↑膀胱瘤を縫い縮めた(前膣壁形成術)ところが再発したり・・・
↑小腸瘤が出てきたりします。
この従来法、現在当院では行われなくなっています。
次に多いのが、「膣閉鎖術」術後の再発
次に多い再発パターンは、この「膣閉鎖術」後の再発です。
これも全例が、他院から再手術依頼で紹介されてくるパターンです。
せっかく膣を縫い閉じても、↑膀胱瘤や直腸瘤が下がってくることがあるんですよね。
縫い閉じた場所が完全に外れて、大きく脱出してくるケースもあります。
この膣閉鎖術も、当院では現在行われなくなりました。
TVM手術後の再発は少ないけど、再手術は苦労する
↑TVM手術(経腟メッシュ手術)とは、膣側からメッシュを留置して、子宮膀胱を吊り上げる術式です。
15年ほど前に、わが国で全盛だった手術です(いまはメッシュトラブルが問題視され、あまり行われなくなってます)
TVM手術後の↑再発原因って・・・
①靭帯に通したアームが抜けて、子宮が下がってくる。
②メッシュの固定が外れて、メッシュがヒモ状ダンゴ状に収縮し、隙間から膀胱が出てくる。
このいずれかです。
TVM手術後の再発って、多くはないんですけど・・・
再発した場合の再手術は、高難度になります。
メッシュが強く癒着してるから、剥離(はがすこと)に苦戦するんですよね。
だからこのような場合、バックアッププランを駆使しまくる「応用編手術」となります。
腹腔鏡下仙骨膣固定術後の再発は少ないけど、再手術は難しい
腹腔鏡下仙骨膣固定術の再発症例が、紹介されてくることもあります。
この手術の再発は、それほど多くない印象です。
この手術では、↑子宮を取り除いて、膣壁にメッシュを縫い付けて固定しています。
メッシュの上端は仙骨に固定します。
↑このメッシュ固定が外れて、再発した症例を経験したことがあります。
このケースは、子宮を取ってて、しかもメッシュを縫い付けたりしてるので、癒着してて高難度です。
マンチェスター手術後の再発はあまり見かけない
マンチェスター手術の再発は、「膀胱瘤が再発して下がってくるパターン」です。
これはたまーに、他院から紹介されてきます。
このマンチェスター手術、異物(メッシュ)を使わない手術なので、再手術はそれほど難しくありません。
メッシュ無し子宮温存手術の再発はもっとも少ない
最後に、↑メッシュ無し子宮温存手術です。
私が大半の症例に行っている手術です。
このパターンの再発は、年に1例あるかないかですね。
この術式もメッシュ(異物)を使わないので、再手術はそれほど難しくありません。
再発症例はすべて、「メッシュを使わない子宮温存術」で治せてます
ワタクシこれまで、このような再発例修復手術を、多数手がけてきてます(たぶん100例ちかく経験してます)
自分が手術した術後再発の手術は年1例くらいで・・・
あとはすべて、よそで受けた骨盤臓器脱手術後の再発症例が、紹介されてくるケースです。
すべて、「メッシュを使わない子宮温存手術」で治せてるので、よかったら受診してみてください。
赤木一成 骨盤臓器脱外科医師