骨盤臓器脱手術 2023年の手術実績と総括

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。

 

今年最後の更新です。

今回は、2023年の総括をいたします。

 

2023年に行った手術の件数

 

↑骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤・膣脱)の手術には、経膣手術経腹手術(腹腔鏡手術)があります。

 

私は経膣手術に徹しており、経腹手術は腹腔鏡チームが担当しています。

 

 

今年ワタクシが手がけた、↑骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤・膣脱)の経膣手術は268例。

直腸脱経肛門手術が34例〔うち骨盤臓器脱との合併例は9例〕

比較的小さい手術(TOT手術、直腸瘤経肛門手術など)が14例。

 

また腹腔鏡チームが手がけた経腹手術(腹腔鏡下仙骨膣固定術、腹腔鏡下直腸固定術、子宮脱と直腸脱の合併手術など)は111例。

 

その他、他医師が手がけた手術(直腸脱経肛門手術など)が25例。

 

全部ひっくるめると、452例という結果でした。

(電子カルテ見てざっと集計しただけなので、若干間違いはあるかも)

 

 

 

今年の手術件数は、昨年とほぼ同じでした。

 

当科(骨盤臓器脱外科)の手術枠をフルに使って、膨大な手術待ちを消化していった結果がこれなので、現時点でのcapacityはこのへんが上限なんだと思います。

 

 

多くの方をお待たせしてるので、もっと処理能力をアップしたいのはやまやまなんですケレドモ・・・

ワタクシ的にはもう「おなかいっぱい」です(笑)

 

手術成績

 

私が手がけた骨盤臓器脱経腟手術268例の成績を、示してみます。

(ワタクシ経腹手術はやってないので、こちらの成績公開はいずれ機会があれば。)

 

メッシュについて

 

今年私が手がけた経腟手術268例の中で、メッシュ(プラスチック繊維を編み込んで作ったシート)を使用したケースはゼロです。

 

全員、メッシュを使わずに治すことができていました。

メッシュ使用率は100%です。

 

予定退院率について

 

退院延期の原因となるトラブルには、↓以下のようなものがあります。

  • 術中臓器損傷
  • 術中出血(輸血を要する多量出血)
  • 術後出血(手術室で麻酔かけて止血)
  • 術後尿閉(尿がうまく出せない)

 

そして、入院期間が予定より大幅延長(3日以上の延長)となった方は4人で、内訳は↓以下の通りでした。

  • 術中臓器損傷 無し
  • 術中出血 無し
  • 術後出血 1例
  • 術後尿閉 3例

(この他、経腟手術以外の手術で、術後出血がもう1例あり)

 

他の方は、だいたい予定通りに退院できていました。

しばらく排尿排便がうまくいかなくて、相談して一日二日ほど退院遅らせた人は、何人かいたんですけどね。

これは「だいたい予定通り」に含めています。

 

ということで、予定退院率は98.5%(264/268)となります。

四捨五入したら99%ということで(笑)

 

再発について

現時点で確認された再発は、いまのところ1例です(参照記事

よって今年の再発率は、99.6%(267/268)ということになります。

 

将来的にぽつぽつ再発が出てくる可能性を加味しても、長期再発率は1%程度に維持できるんじゃないかと・・・

 

2023年の総括

 

以上、2023年の総括でした。

 

無理して倒れたり心が折れたりしたら台無しなので、来年もこれくらいのペースを維持しつつ、コツコツ長くやり続けていく所存です。

 

 

赤木一成

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科