骨盤臓器脱の手術:ゆっくりでいいから、安全確実を心がけています。

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科の赤木一成です。

 

いつもは骨盤臓器脱手術の話ばっかりなんですけど、今日は趣旨を変えて、大腸内視鏡検査の話をいたします。

 

「速さを追求した大腸内視鏡検査」あなたは受けたいですか?

 

「速い奴が上手いわけではない。時間が安定してる奴が上手いのだ」

私の元同僚である、国内トップエンドの大腸内視鏡マスター、武神健之先生のお言葉です。

これって、武神先生の専門である大腸内視鏡のお話です。

 

大腸内視鏡って、一部の施設では、「速い奴が偉い」という風潮があるんですよね。

ガツンと強力な鎮静剤を打って、患者さんをドロドロに寝かせて、痛みをごまかす。

鎮静剤の副作用で、ときどき患者さんの呼吸が弱くなる。

そして患者さんが痛がっても構わずに、カメラを速く押し込んで、1秒でも早く大腸の奥まで挿入しようとする。

気にしてるのは「患者さんが楽かどうか、安全かどうか」ではなく、「ストップウオッチのタイム」・・・

 

こんな検査、受けたいですか?

私が大腸内視鏡を受けるなら、5分や10分余計に時間をかけていいから、痛くなく丁寧にやって欲しいです。

 

「速さを追求した手術」なんて、受けたくないですよね。

これって子宮脱や膀胱瘤の手術でも同じで、「速い奴が上手いわけではない。安定してる奴が上手いのだ」と思っています。

 

もし手術で、速さを追求したらどうなるか。

速く終わらせようとして、雑な動きになってしまう。

正しい層を確認せずに切っていくから、出血しやすいし、下手すると臓器を損傷する。

縫い方も雑だけど、やり直すのは時間かかるからそのまま。

出血しててもロクに止血確認せずに、手術を終える。

ぜんぶ「たまたま」うまくいったら速く終わるけど、ときどきハマって1時間2時間延長してしまう・・・

 

こんな手術、受けたいですか? 私はイヤです。

 

「手の動きはゆっくりでいいから、いつも安定した時間に終わる手術」を心がけています。

手の動きはゆっくりでも、ひとつひとつの操作を、確実に一発で決める。

丁寧に正しい層を出すから、時間はかかっても出血せず、臓器損傷も起こらない。

手間がかかっても、確認を怠らない。

納得いかなければやり直す。

すごく速く終わることは無いけど、予定よりずっと延長することも無く、どの症例もだいたい同じ時間で終わる・・・

 

これが、私の考える「上手い手術」です。

僭越ながら、こんな手術を心がけています。

 

赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科