骨盤臓器脱手術が専門です⑤:自分が若い頃に勘違いしてたこと。

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。

 

今日は変なタイトルですが、ネタが思いつかなかったもので・・・

 

「若い頃と現在で、考え方が変わったこと」についてお話いたします。

よろしければ、お付き合いください。

 

若い頃には「正しい」と思ってたことでも、今では「そうじゃなかった」と言えることって、皆さんいろいろあると思います。

 

私の場合は、こうでした・・・

 

夜も土日も一生懸命働くのがいい医者だ! → 無理せず長くやり続けたほうが、社会貢献度の総量が大きくなる。

 

若い医者って、だれだって頑張りすぎてしまいます。

夜も遅くまで居残って、休日も患者さんの診察に出てきます。

 

30歳そこそこの若い医者とかなら、その姿勢が必要なのかもしれません。

 

でも40歳近くになっても、それを続けている医者って、賢明でしょうか?

わたしはそうは思いません。

 

 

頑張りすぎる医者って、燃え尽きてしまう恐れがあるんですよね。

そうやって40歳手前で、手術の第一線から身を引いた医者、実際に見たことあります。

 

外科系の医者でそのお年頃って、やっと一人前になって、覚えた技術を社会に還元していく時期です。

それなのにその時期に燃え尽きるって、大きな社会的損失ではないでしょうか。

 

「無理せず長くやり続けて『貢献度の総量』を最大化しよう」

わたしはこっちのスタンスでやってます。

 

私もかつて、無理して体が悲鳴を上げたことがあって、身に沁みました。

いまでは決して無理しないよう、心がけています。

 

なるべく自分でやった方がみんなのためになる! → 「自分にしかできない仕事」に徹し、それ以外の仕事は人に任せた方が、組織全体のアウトプットは大きくなる。

 

わたくし10年以上前に、↑新橋分院の院長をつとめてました。

 

週1日、とある若い先生(名前をA先生とします)が、外来診察をやってくれてました。

 

やる気があっていい先生なんですけど、診察が遅いんですよね。

彼が診察する日は、待合室が大混雑して、待ちのクレームが発生します。

 

「なんでだろう?」と思って、スタッフから話を聞いてみたら、わかりました。

 

このA先生、なんでもかんでも自分でやろうとするんです。

術後の生活注意事項の説明とか、お薬の飲み方の説明とか、果ては料金や予約の取り方まで・・・

 

自分も若い頃はそうだったんですけど、「なんでもかんでも、自分でやるべきなんだ」と勘違いしてるんですよね。

これってたぶん、大学病院に薄給(無給)で在籍し、数多の雑用を押し付けられたころの悪影響です。

 

 

でもそれって、明らかに間違いです。

 

医者は「医師免許が必要な仕事」に専念すべきなんです。診察とか手術とか。

それ以外の仕事は、なるべく人に任せるべきなんです。

 

そして看護師は「看護師免許が必要な仕事」に専念する。注射とか、手術内視鏡の介助とか。

 

免許が不要の仕事は、それ以外の人にお願いする。案内とか予約手続きとか。

 

 

これが効率的な組織です。

そうすることで、組織全体のアウトプットを最大化する。

 

ぶっちゃけて言えば、「医者は時給が高いんだから、医者にしかできない仕事に徹して、余計な仕事はしちゃダメ」ということですね。

 

・・・A先生に、こんなことをお話したら、飲み込みが速かったです。

「自分がやるべき仕事」「人に任せるべき仕事」を仕分けできるようになって、圧倒的に診察時間が速くなりました。

 

素晴らしいですね。

 

10年後には、また考え方が変わっているかもしれませんね。

 

以上、「若い頃と現在で、考え方が変わったこと」でした。

 

10年後には、さらに変わっているのかもしれませんね。

 

おわり。

 

赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科