おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
今日は変なタイトルですが、ネタが思いつかなかったもので・・・
「若い頃と現在で、考え方が変わったこと」についてお話いたします。
よろしければ、お付き合いください。
若い頃には「正しい」と思ってたことでも、今では「そうじゃなかった」と言えることって、皆さんいろいろあると思います。
私の場合は、こうでした・・・
夜も土日も一生懸命働くのがいい医者だ! → 無理せず長くやり続けたほうが、社会貢献度の総量が大きくなる。
若い医者って、だれだって頑張りすぎてしまいます。
夜も遅くまで居残って、休日も患者さんの診察に出てきます。
30歳そこそこの若い医者とかなら、その姿勢が必要なのかもしれません。
でも40歳近くになっても、それを続けている医者って、賢明でしょうか?
わたしはそうは思いません。
頑張りすぎる医者って、燃え尽きてしまう恐れがあるんですよね。
そうやって40歳手前で、手術の第一線から身を引いた医者、実際に見たことあります。
外科系の医者でそのお年頃って、やっと一人前になって、覚えた技術を社会に還元していく時期です。
それなのにその時期に燃え尽きるって、大きな社会的損失ではないでしょうか。
「無理せず長くやり続けて『貢献度の総量』を最大化しよう」
わたしはこっちのスタンスでやってます。
私もかつて、無理して体が悲鳴を上げたことがあって、身に沁みました。
いまでは決して無理しないよう、心がけています。
なるべく自分でやった方がみんなのためになる! → 「自分にしかできない仕事」に徹し、それ以外の仕事は人に任せた方が、組織全体のアウトプットは大きくなる。
わたくし10年以上前に、↑新橋分院の院長をつとめてました。
週1日、とある若い先生(名前をA先生とします)が、外来診察をやってくれてました。
やる気があっていい先生なんですけど、診察が遅いんですよね。
彼が診察する日は、待合室が大混雑して、待ちのクレームが発生します。
「なんでだろう?」と思って、スタッフから話を聞いてみたら、わかりました。
このA先生、なんでもかんでも自分でやろうとするんです。
術後の生活注意事項の説明とか、お薬の飲み方の説明とか、果ては料金や予約の取り方まで・・・
自分も若い頃はそうだったんですけど、「なんでもかんでも、自分でやるべきなんだ」と勘違いしてるんですよね。
これってたぶん、大学病院に薄給(無給)で在籍し、数多の雑用を押し付けられたころの悪影響です。
でもそれって、明らかに間違いです。
医者は「医師免許が必要な仕事」に専念すべきなんです。診察とか手術とか。
それ以外の仕事は、なるべく人に任せるべきなんです。
そして看護師は「看護師免許が必要な仕事」に専念する。注射とか、手術内視鏡の介助とか。
免許が不要の仕事は、それ以外の人にお願いする。案内とか予約手続きとか。
これが効率的な組織です。
そうすることで、組織全体のアウトプットを最大化する。
ぶっちゃけて言えば、「医者は時給が高いんだから、医者にしかできない仕事に徹して、余計な仕事はしちゃダメ」ということですね。
・・・A先生に、こんなことをお話したら、飲み込みが速かったです。
「自分がやるべき仕事」「人に任せるべき仕事」を仕分けできるようになって、圧倒的に診察時間が速くなりました。
素晴らしいですね。
10年後には、また考え方が変わっているかもしれませんね。
以上、「若い頃と現在で、考え方が変わったこと」でした。
10年後には、さらに変わっているのかもしれませんね。
おわり。
赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科