おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
週末なので、「一週間の骨盤臓器脱手術記録」を書きます。
患者さんを特定できないよう配慮して、数週間前の日常を描写しています。
手術を8例行いました。
この週は、子宮脱膀胱瘤の手術を7例行いました。
また、子宮脱+直腸脱の手術を1例行いました。
一週間の手術件数としては、「いつもより多目」程度だったんですけど・・・
そのうち一日に手術が集中して、大変だったんです。
子宮脱膀胱瘤が2例、子宮脱+直腸脱が1例で、患者さんは3人なんだけど、手術は実質4件という過密スケジュールに陥ってしまいました。
年に何回か、スケジュールの都合でこうなってしまうんですね。
こんな日はへとへとになってしまいます。
「もっとも多い手術」と、「もっとも大変な手術」
ワタクシ、女性骨盤底領域の外科を専門としています。
具体的には、↓以下のような病気の診療手術に専念しています。
もっとも多い手術
この中で一番頻度が高いのが、子宮脱膀胱瘤の手術で、上記手術のうち7割くらいを占めます。
(子宮脱と膀胱瘤は単独で脱出することは希で、両方が合併して脱出してきます)
この手術は、1時間15分くらいで終わることが多いです。
重症例とか、癒着が強い場合には、1時間半くらいかかることもあります。
「入室したり退室したり」「麻酔をかけたりさましたり」「体位とったりマーキングしたり」「手術部位を消毒したり敷布かけたり」などの時間も合わせると、トータルで2時間くらいですね。
この手術、ほとんど毎日のように行っていて、手順も確立されています。
大半の患者さんは、ふくよかで元気のいい60代後半~70代の方なので、術後管理もそれほど注意を要しません。
ほぼ全員が、大きなトラブル無く経過して、だいたい予定通りに退院していきます。
すべての患者さんが、こうだったらいいんですけどね・・・
でも当然ながら、世の中そんなに甘くありません(笑)
もっとも大変な手術
そして・・・
この中でもっとも大変なのは、「子宮脱+直腸脱」の手術です。
これは手術だけで2時間15分~2時間半、すべてひっくるめたトータルで3時間くらいかかります。
大半が80代後半~90代の高齢者で、いろいろと不利な条件がそろっています。
大抵なんらかの病気を有してて、術前評価を慎重に行う必要があります。
相当やせてて、栄養が足りてない方が多いから、傷の治りも不利なんです。
手術はもちろん手間がかかるし、術後も気が抜けません。
さらに、ほとんどの方が遠方にお住まいなので、退院する時期にも神経を使います。
ワタクシこの手術、昨年(2021年)は月2例ペースで手がけていました。
「そんなに多くないのでは?」と思う方も、いらっしゃるかもしれませんね。
でもこの手術、他にやってる病院がほとんど無いんです。
直腸脱だけでも頻度の低い疾患なのに、さらに子宮脱も合併してる人はもっと少ないからです。
だからこれでも全国最多ではないかと・・・
ということで、大変な一日・・・
大変なのが、↑こんな感じのスケジュールになる一日です。
朝9時から手術をスタートして、手術の途中でちょっと休憩はさむから、全部終わるのが4時半とかになります。
日中はずっと手術室にこもって集中するわけで、一日が終わると、疲労困憊へとへとになります。
(一時期こんな日々が続いて、寝込んだこともあります・・・)
だから最近は、なるべくこうならないよう、注意して手術予定を組むようにしています。
無理しすぎて倒れて手術から撤退・・・みたいな事態だけは、避けないといけませんからね。
赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科