手術時間のおはなし:洗練とブレイクスルー。そしてぶっちゃけ話。

↑これ見てて今回のテーマ閃くw

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の、赤木一成です。

 

今回は、よくいただく質問のひとつである、「手術時間」のお話をいたします。

 

手術時間と、その推移。

ワタクシが行っている、骨盤臓器脱経腟手術の場合

手術時間は「1時間ちょっと」と申し上げてます。

 

これに、麻酔とか準備とか移動とか申し送りとかを合わせて、トータルでだいたい2時間ですね。

 

 

ワタクシが骨盤臓器脱手術に本腰を入れたのは、2010年からです。

 

当時の手術時間は、2時間半くらいかかってました。

 

 

手術時間は↑このように、「洗練」「ブレイクスルー」を繰り返して、確実に短縮されてきています。

 

同じ手技を延々と繰り返すことで、手技が洗練されていって、手術時間が少しずつ短縮する。

数年に一度、ブレイクスルー(技術革新)を迎えて、手術時間がガクンと短縮する。

 

この二つの繰り返しです。

 

 

おそらくこれからも、同じような過程を繰り返して、手術時間は短くなっていくと思われます。

 

とはいえ、たいがい改良しつくして、行き着くところまで行ってしまった気もしますが・・・(笑)

 

手術時間に関する、ぶっちゃけた話

 

以下、余談です。

これまで手術時間について語っておきながら、こう言うのもなんですが・・・

 

ぶっちゃけこの「手術時間」って、患者さんにとっては、べつに重要じゃありません。

 

 

手術時間が多少長くなろうが、患者さんには特にデメリット無いんです。

 

麻酔はきわめて安全だから、手術時間が長くなっても問題ないし

患者さんは手術中寝てるんだから、別につらくもないわけですからね。

 

 

手術時間が長くなって困るのは、患者さんじゃなくって、むしろ病院サイドです。

 

手術時間が長くなると・・・

術者もスタッフも疲れるし

他の手術も入れられなくなるし

残業代が発生したら経営面でもマイナスだし。

(手術を早く終わらせようが、どんだけ時間をかけようが、診療報酬は同じですからね)

 

手術がやたら遅い術者って、病院サイドにとって、いいことないわけです。

 

 

 

だから、医療機関で望まれる術者像は明らかで・・・

「それほど時間をかけずに、安全確実な手術をする人」であります。

 

安全確実でも、やたら時間がかかるようじゃ困るし

どんだけ手術が速くても、合併症や再発だらけじゃ、これも困ります。

 

術者は、この「手術時間」と「成績」の両者において、全国水準の成績を求められます。

標準的な症例ばかりじゃなくて、困難症例や他院再発症例とかも、当然含まれる。

そして年間100件200件と術者を担当し、何年にもにわたって結果を出し続けなければいけない、ということですね。

 

 

赤木一成

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科