こんどウチのカミさんがさあ、子宮脱の手術してもらうんだけど、手術の時に付き添いが必要って言われたんだよね。
オレ忙しいんだけど、やっぱり付き添わなきゃダメ? |
こんな疑問に答えます。
(2021年5月追記)
現在コロナの影響で、手術中の家族付き添いは中止しています。
もし手術中に家族へ連絡する必要が生じたら、電話で対応しています。
おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
今日は、「手術中の家族の付き添い」について、お話いたします。
子宮脱手術をやっている間だけ、家族も付き添ってくださいね。
手術中に、家族に付き添ってほしい理由。
まず、子宮脱手術を行っている間だけ、家族に付き添ってほしい理由をお話します。
子宮脱の手術は、全身麻酔で行います。
全身麻酔なので、患者さんは意識がありません。
だから手術中に、説明を要する事態が発生した時に、家族にいてもらう必要があるんです。
たまにこんな事態が起こるんです・・・
今日は↑山田花子さんの、子宮脱の手術を行います。
↑山田さんのご主人は、付き添いで病院に来てくれました。
↑手術室の入り口です。
↑手術室です。
↑山田さんが横になって、麻酔科の先生が麻酔をかけました。
↑わたしと助手が、患者さんの足をあげて、体位を取ります。
砕石位(さいせきい)といって、お産のときと同じ体位です。
そしたら、↑子宮脱だけと思ってたのに・・・
あらあら、↑直腸もすこし出てきましたよ。
軽症の直腸脱を伴っていました。
麻酔がかかって筋肉が弛緩したら、肛門の締まりがゆるくなるので、直腸が出てきたんです。
診察時には本人なにも言ってなかったから、子宮脱に目が向いてて、直腸脱には気づかなかったんでしょう。
「子宮脱」だけだと思ってたけど、実際には「子宮脱+直腸脱」だったんです。
直腸脱は、放置していても治りません。
せっかく麻酔をかけて、子宮脱の手術をするんだから、直腸脱も一緒に治したほうがいいですよね。
でもこんなとき、無断で直腸脱の手術を行うわけにはいきません。
説明してない手術を行うのなら、ちゃんと説明して同意を取らないといけません。
でも山田花子さんは麻酔で寝ているので、本人に相談することはできません。
だから付き添いで来ている、ご主人に相談することになります。
わたくしが説明「山田花子さんの麻酔をかけたら、直腸脱も出てきました」
「このまま放置していてもよくならないので、子宮脱といっしょに直腸脱も手術したほうがいいと思うのですが・・・」
↑ご主人がお返事「そうか分かったよ先生。じゃあそっちもよろしく頼むわ!」
という感じです。
こんな状況、そうそうあるもんじゃないんですが、可能性は0じゃないんです。
だから家族に付き添いをお願いしています。
手術のとき以外は、家族が付き添う必要はないですよ。
家族に付き添いをお願いしているのは、手術の間だけです。
手術室に入ってから、手術が終わって出てくるまでの、だいたい2時間くらいです。
そのあとは少し面会して、お帰りいただくことになります。
他の日は、家族が病院に来る必要はありません。
(手術前日の手術説明するときに、家族が同席を希望する場合には、その日も来てもらいますが)
「面会に行かないと、入院中に女房が寂しがるんじゃないか」ですって?
いえいえ、大丈夫ですよ。
骨盤臓器脱手術を受けたご婦人が、いつも5~7人くらい病棟にいるので、みなさんで交流したりしてます(笑)
赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科