子宮脱の手術を受けるけど、出血は大丈夫? 99.8%は大丈夫と言えます。

 

わたし、子宮脱の手術を受ける予定なんです。

もともと貧血気味なんだけど、手術で出血する心配はないのかしら?

こんな疑問に答えます。

 

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科の赤木一成です。

子宮脱とか膀胱瘤の手術で、出血に関する質問をときどきいただきます。

今回は、この出血について、説明をいたします。

 

骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤)の手術では、そんなに出血の心配はいりません。

ここでは最も多い、膣側からの手術(経腟手術)について説明しようと思います。

肛門側からの手術(経肛門手術)は、話がまた違ってくるので、これについてはいずれあらためて説明します。

 

手術に関する出血は、「手術中に起こる出血」と、「手術後に起こる出血」に分けられます。

 

手術中に起こる出血

 

まず「手術中に起こる出血」について。

この出血は、粘膜をはがして、深いところにある靭帯(仙棘靭帯)に進むときに起こりやすいです。

もうひとつ、この靭帯に糸をかける操作時にも、出血することがあります。

 

この二つの操作は、手術の序盤10分に集中しています。

だからこの骨盤臓器脱手術って、最初の10分が一番緊張します。

 

ただ最近は技術が熟達してきたため、出血が起こってあわてるような事態はまれです。

 

手術後に起こる出血

もうひとつ「手術後に起こる出血」について。

これは、膣壁にできた傷(赤矢印)がこすれて出血するパターンです。

 

この出血は、術後2週間までに起こることが大半で、その後はめったに起こりません。

とくに「血液サラサラの薬(抗血栓薬)」を飲んでる人に起こりやすいです。

 

このタイプの出血は、少量のじわじわした出血なので、あわてる必要はありません。

病院に来てもらって、外来処置で数分で止血できます。

 

これまで1300人以上手術して、輸血を要した人は2人です。現時点では確率1/500以下。

これまで10年間にわたって、1300人以上の骨盤臓器脱(子宮脱や膀胱瘤)の手術を行ってきました。

そのうち多量の出血を起こして、輸血を要したケースは2例です。

確率で言えば、500分の1以下ということになりますね。

だから患者さんに手術説明をするときにも、「多量に出血するのは500人中1人」=99.8%は大丈夫。 とお話ししています。

 

赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科