おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
今回は、骨盤臓器脱外来をはじめて受診された方に、わたしがどんなことを説明しているか、お話いたします。
これが、骨盤臓器脱専門外来でお渡ししている説明用紙です。
↑これが、骨盤臓器脱外来を受診した方全員にお渡ししている、当院の説明用紙です。
当院で自作したもので、10年にわたって少しずつ改良を重ねて、現状に至っています。
この用紙をお渡しして、以下のような感じで説明を進めていきます。
まず、あなたの骨盤臓器脱のタイプを説明します。
骨盤臓器脱には、いろんなタイプがあります。
子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤・膣脱・直腸脱などがあって、複数が合併することもよくあります。
まず最初に、あなたの骨盤臓器脱がどのタイプなのか、説明いたします。
次に、治療方針を選択していただきます。
骨盤臓器脱の治療方針は、大きく分けて二つあります。
「保存的治療(骨盤底筋体操・ペッサリー)」と「手術」が、その二つです。
まず最初に、どちらの治療方針を希望するか、選んでいただきます。
治療方針の選択は、あくまでも患者さんの希望を尊重します。
もちろん「ペッサリーでは無理だと思います」とか「手術は必要ないでしょう」みたいに、私の意見もお伝えいたします。
迷ってて決心がつかない人の場合には、いったん帰って家族と相談してもらって、あらためて来院してもらうこともあります。
続いて、骨盤臓器脱の治療にうつります。
保存的治療を選択した場合
fullcircle physiotherapyのサイトより引用
保存的治療には、骨盤底筋体操とペッサリーがあります。
骨盤底筋体操は、ごく軽度の骨盤臓器脱だけが対象なので、ほとんど「保存的治療=ペッサリー」となります。
保存的治療は、骨盤臓器脱と「ずっと付き合っていく」治療法であり、これで骨盤臓器脱が治るわけではありません。
またペッサリーを使用する場合には、定期的な通院が必要となります。
ペッサリーはその場で留置することができます。
骨盤臓器脱手術を選択した場合
骨盤臓器脱を根本的に治すには、手術が必要です。
骨盤臓器脱手術:経腟手術と経腹手術から選択する
手術を選択した場合には、「膣側から行う方法(経腟手術)」と「おなか側から行う方法(経腹手術)」から、どちらか一方を選択します。
私の場合、「性生活を重視する若い人では経腹手術」「それ以外はすべて経腟手術」という方針が最善と考えています。
骨盤臓器脱手術:経腟手術について
経腟手術は手術の負担・ダメージが小さいけれど、性生活に支障が起こる可能性があります。
また経腟手術には、メッシュを使わない方法と、メッシュを使う方法があります。
最近は技術が進化して、多くのケースでメッシュを使わずに治せるようになってきています。
骨盤臓器脱手術:経腹手術について
経腹手術は性生活に支障が起こりにくいですが、経腟手術より手術の負担・ダメージが大きくなります。
経腹手術では、原則として全員にメッシュを使う必要があります。
入院期間について
手術を希望された場合には、手術予約を入れます。
入院期間は、原則一週間です。
また、持病の有無とか、飲んでる薬の確認とかも、この場で行います。
以上が、当院骨盤臓器脱外来の、初めて受診するときの流れです。
お疲れさまでした。
赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科