ペッサリーに見えたのは私だけでしょうか・・・?(不謹慎でごめんなさい) 画像引用
おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
今回は久しぶりに、「ペッサリー長期留置のデメリット」についての話題です。
特に、「手術中どう不利になるのか」という観点から、お話させていただこうかと。
実はこのペッサリーの話って、動画でときどき低評価つけられるんです。
ペッサリーで満足してる方にとっては、耳に痛い話でしょうからね。
今回の記事でも、不快に思う方がいるかもしれませんね。
でも、患者さんの利益になる話だと考えるから、あえて定期的に発信するようにしています。
ペッサリー長期留置のデメリット
「ペッサリーをずっと留置してたら、手術の時になにかデメリットがあるの?」
これって、時々いただく質問です。
答えはもちろん、YESです。
「私が手術やりにくい」だけならいいんですけど・・・
↓以下の3つはすべて、合併症や再発に直結するんですよね。
①子宮が持ち上がって手術が難しくなる。
まず、これです。
骨盤臓器脱の経腟手術って、↓子宮を手前に引き出した状態で行います。
↑通常のケースでは、子宮を手前に引き出せるので、安全に手術を行えるのですが・・・
ペッサリーを長期留置していた人では、↑子宮を十分に引き出せず、手術操作が難しいことがよくあります。
その結果、予定通りの修復が行えず、再発する恐れが出てきます。
まあ実際には、(苦労してブツブツ言いながらもw)全員きちんと手術をやり遂げてるんですけどね。
「でも子宮が下がってこないんだったら、膀胱瘤だけ修復すればいいから楽なんじゃないの?」と思う人も、いらっしゃるかもしれませんね。
いえいえ。膀胱瘤だけ修復するのって、逆に難度が高いし、再発もしやすいんですよ・・・
②膣壁が裂けやすい。
↑健康な膣壁は、薄くてしなやかで、切ったり縫ったりするのも容易にできます。
↑いっぽうペッサリーを長期留置している方だと、膣壁がもろくなってて、ちょっと引っ張っただけで裂けやすくなっています。
もしそうなったら、膣壁が傷だらけになってしまいます・・・
③癒着して剥離が難しい。出血しやすい。
↑ペッサリーが膣壁を長期圧迫することで、癒着が生じてきます。
それでも大半のケースでは、正しい層を剥離(はがすこと)できるんですけど・・・
たまーに、↑癒着が強くて苦戦するケースがあるんですよね。
当然ながら、臓器損傷のリスクも高くなってきます。
あと、術中に出血しやすく苦戦するケースって、たいていペッサリー長期使用者です。
じゃあどうすればいいの?
じゃあどうすればいいの?ということになりますね。
過去の記事で何度も言及してますが・・・
ペッサリーは惰性で延々と使い続けるのではなく、期間限定としましょう。
「ペッサリーを使っちゃだめ」と言ってるんじゃないんです。
「いまは仕事が忙しいから、半年か1年ほどペッサリーでつないで、仕事が落ち着いてから手術を受けたい」
こんな感じで計画的に、期間限定でペッサリーと付き合うのが正解です。
「手術を受けたくないからペッサリーがいいかな・・・」
そしてペッサリーで何年も粘った挙句
「そろそろ限界になってきたから手術を受けようか・・・」
みたいに、行き当たりばったり(失礼)的な使い方が良くないということですね。
そもそも、↑一生ペッサリーを続けるなんて無理ですからね。
だったら、早いうちに治してしまった方がいいと思いませんか?
赤木一成
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科