骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
今回は、「骨盤臓器脱を診療する科」について、お話させていただきます。
わたくし、大勢の骨盤臓器脱の患者さんを診察しています。
そこでよく言われるのが、「どこを受診すればいいかわからなかった」という言葉なんです。
骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤)の診療を行っている診療科って・・・
婦人科・泌尿器科・外科などいろんな科があって、分かりにくくなってるんですよね。
目次
骨盤臓器脱は、何科(どの診療科)を受診したらいい?
「どこを受診したらいいか分からなかった」
当院が骨盤臓器脱診療に参入したのは2010年なんですけど、当時はこうおっしゃる方が多かったですね。
最近はこんな方、少なくなったような気がしますが
それでも時々いらっしゃいます。
骨盤臓器脱診療を行ってる外来って、いろんな名称があるから、分かりにくいんですよね・・・
骨盤臓器脱診療を行う科には、4種類の表記があります
骨盤臓器脱の診療は、婦人科医・泌尿器科医・外科医などが担当しています。
そして骨盤臓器脱診療を行っている外来って、色々な呼び名があります。
- 骨盤臓器脱外来
- 女性泌尿器科外来
- ウロギネ外来
- 女性骨盤底外来
こんなところですね。
こんなに多くの名称があるんだから、患者さんが迷うのも無理ありません。
「統一したらいいのに」と思うこともありますが、まあ余計なお世話ですかね(笑)
それぞれの名称について、少し触れてみましょう。
①骨盤臓器脱外来:もっとも分かりやすい
そのまんまで分かりやすいのは、「骨盤臓器脱外来」ですね。
これは婦人科の先生がよく使ってますね。
当院の骨盤臓器脱診療は、外科医が行ってるんですけど、この名称を使うようにしています。
②女性泌尿器科外来:泌尿器科の先生が使ってるけど・・・
「女性泌尿器科外来」という名称は、泌尿器科の先生が使っています。
でもこれって、ほんとに骨盤臓器脱に対応してくれるのか、患者さんには分かりにくいんじゃないかと思ってます。
「私は子宮が下がってるのに、泌尿器科でいいの?」みたいな。
だからワタクシは、この名称は使わないようにしています。
そもそも泌尿器科医じゃないですし(笑)
③ウロギネ外来:患者さんには分かりにくい(と思う)
「ウロギネ」って、英語のウロギネコロジー(Urogynecology)を略したものです。
この名称も、泌尿器科の先生がよく使ってますね。
でもこの「ウロギネ」って、患者さんには何のことやら分かりません。
だから当サイトでは、この言葉は使わないようにしています。
④女性骨盤底外来:直腸肛門疾患まで含めた広い概念
数は少ないですが、「女性骨盤底外来(女性骨盤底センター)」という名称を使っている施設もありますね。
この言葉って、当院のコンセプトにもぴったりな名称だから、「ウチもこっちに変えた方がいいんじゃないかなー」と思ってた時期がありました。
↑当院では骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤)に加え、直腸肛門疾患(直腸脱・痔核)、術後尿失禁など「女性の骨盤底領域に生じるあらゆる良性疾患」を専門としているからです。
要は、↑「女性のこのへんの病気をぜーんぶ治します」ということですね。
まあ、現在の「骨盤臓器脱外来」のほうが分かりやすいし、これから診療科名称を変えるのも大変だから、現状のままになってるんですけどね。
これらの診療科が近所に無い場合は、お近くの婦人科へどうぞ
これらの診療科が、お住まいの地域に無いケースもあると思います。
(というか、無い地域の方が大多数)
そんな場合には、まずお近くの「婦人科外来」を受診してくださいませ。
婦人科のドクターであれば、最も近いエリアの骨盤臓器脱専門外来を、紹介してくれるはずです。
直腸肛門疾患や排尿障害まで、すべて対応できる施設がベスト
骨盤臓器脱って、子宮脱や膀胱瘤だけ対応していればいいわけではありません。
↑子宮脱には直腸脱や痔核が合併することもよくあるし・・・
↑直腸瘤は肛門側からの手術が必要となることもあるし・・・
泌尿器科疾患(排尿障害)や婦人科疾患(子宮筋腫や卵巣嚢腫など)を合併することもあるんです。
「子宮脱は手術できるけど、痔核手術は他の病院に行ってください」とか、
「膀胱瘤は治せるけど、排尿異常のことは分からない」とかだと、患者さんは困りますよね。
必要に応じて、大腸肛門外科・婦人科・泌尿器科の3つの診療科が連携して、対応できる施設がベストということですね。
赤木一成 骨盤臓器脱外科医師