手術所要時間と、手術室スタッフの話。今週の骨盤臓器脱手術は7例

↑3階からロビーを撮影してみました・・・

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。

 

週末は「一週間の骨盤臓器脱手術記録」を書いています。

 

これはリアルタイムの記録ではありません。ちょっと前の記録です。

 

子宮脱膀胱瘤の手術を7例行いました。

この週は、子宮脱+膀胱瘤の手術を7例行いました。

月、水、木、金に1例、火曜に3例です。

全員が大きなトラブル無く経過し、だいたい予定通りに退院していきました。

 

子宮脱膀胱瘤の手術では、便秘以外のトラブルはめったに起こりません。

直腸脱の手術では、出血などのトラブルがときどき起こります)

 

トラブル多発じゃ身が持たないから、何も起こらない日々はありがたいと思わなくちゃいけませんね。

 

当院の手術室スタッフはすごいんです・・・

 

骨盤臓器脱の手術は、↑術者が私、助手はスタッフ(看護師)で行っています。

 

わたくしこれまでに、1400例以上の子宮脱膀胱瘤手術を手がけてきました。

当院の手術室スタッフは10名ほどいるので、私の助手を100例ちかく経験している人もいます。

骨盤臓器脱手術の助手を、これだけ務めたスタッフって、全国に何人もいないでしょう。

 

デキるスタッフが揃ってるので、手術はスムーズです。

こと細かに言わなくても、私が意図した助手の動きをやってくれます。

私が「はい」とか「ほい」とか言うだけで、欲しい器具が次々出てくるし、組織を適切な方向に牽引して術野を作ってくれます。

おかげで、快適で楽ちんな手術が可能です(笑)

 

 

この手術で集中を要するのは、最初の10分です。

↑膀胱直腸スレスレを剥離して、深いところにある靭帯に到達し、この靭帯に糸をかける作業があります。

ここは緊張を要するステップなので、言葉を発さず集中して手術を進めていきます。

 

いっぽう、危険が全く無いステップもあります。

↑膀胱鏡で膀胱を観察するとか、膣壁を縫合するとか、そんな場面ですね。

 

 

このような安全なステップでは、↑ときどき雑談してます。

 

手術中ずっと緊張を保つより、ときどき雑談でリラックスした方が、メリハリついて全体的によくなるんですよね。

 

手術時間は年々短縮し、いまは落ち着いてます。

 

子宮脱膀胱瘤手術では、大半のケースは、1時間10分~15分で終わります。

(入室退室とか、麻酔をかけたりさましたりとか、体位を取ったりする時間が、これにプラスされます)

 

よっぽど重症とか、癒着が強いとかでない限り、手術時間が1時間半を超えるケースはまれです。

 

私がこの手術を始めたのは2010年ですが、当時は手術に2時間半くらいかかっていました。

手術を終えたら集中力を使い果たすので、手術は1日1件限定でした。

 

 

でも今は、火曜日などは、手術を1日3件やっています。

「子宮脱を2件、子宮脱+直腸脱を1件」みたいに、↑実質1日4件やることもあります。

 

これまで何年もかけて手順を改良し、技術が確立されてきた結果、手術時間が短くなり、集中力も消耗しなくなったんです。

 

この手術時間、初期の2時間半から、年を追うごとに短くなっていきました。

でもここ3年くらいは、1時間10分~15分で落ち着いています。

 

おそらくこれ以上短くなることはないでしょう。

手順を改良しつくして、最近ずっと同じやり方でやっているためです。

 

 

手術時間をこれ以上短くできるか?

やろうと思えば可能です。

いろいろな確認作業を省略すれば、1時間で終えることもできます。

 

でもそれはやらないと決めています。

手術時間にこだわって、手術の質を落とすようでは、意味がないですからね。

 

シンプル・ワンパターン・ゆっくりでいいから安全確実・面倒でも手を抜かない・納得いかなければやり直す。

そういう手術を、心がけています。

 

赤木一成 辻仲病院柏の葉 骨盤臓器脱外科医師