おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
「一週間の骨盤臓器脱手術記録」を書きます。
これはリアルタイムの記録ではなく、ちょっと前の「一週間のできごと」の記録です。
患者さんに迷惑かからないよう配慮しています。
子宮脱や膀胱瘤の手術を5例行いました。
子宮脱+膀胱瘤の手術を5例行いました。
いつも通りに淡々と手術が進んで、予定通りに終わります。
術後も大きな合併症はなく、みなさん予定通り退院していきました。
この手術で緊張する局面は、最初の10分間です。
「臓器のすぐ近くを剥離する」「深いところにある靭帯に糸を通す」という、緊張と集中力を要する作業が、最初の10分間に集まっているんです。
この時は細心の注意を払って、定めた手順を確実に遂行し、安全に作業を行っていきます。
複数の確認作業もあるので、これも怠ることなく確実に行います。
臓器損傷とか出血とかの合併症は、骨盤臓器脱手術を生業とする医師であれば、誰でも経験があります。
合併症の可能性をまったく0にするのは不可能だけど、手順を守り、確認作業を行うことで、合併症の可能性は限りなく0に近づいていきます。
この二つの作業が無事終わったら、ちょっぴりほっとします。
あとは定められたステップを次々に遂行して、手術が終わります。
尿失禁の手術(TOT手術)を1例行いました。
尿失禁の手術を1例行いました。
子宮脱や膀胱瘤の手術のあとに、尿が漏れやすくなる人がいます。
手術で尿道の圧迫が取れて、尿が漏れやすくなるんですね。
手術の合併症ではなくて、「もともと尿道の締まりがゆるい」ということです。
この尿漏れは、骨盤底筋体操でよくなることが多いんですが、それでも改善しない場合には、この↑TOT手術を行うことがあります。
子宮脱膀胱瘤の手術を100人行ったとすると、そのうち3~4人くらいで、このTOT手術が必要となります。
子宮脱膀胱瘤の手術とくらべると、規模の小さい手術なので、手術時間は20~30分で終わります。
このTOT手術、手術時間は短いけれど、テープのテンション調整に気を使います。
テンションがゆるすぎると尿漏れは改善しないし、テンションが強すぎると尿が出にくくなるんです。
だから「尿漏れが治って、尿がスムーズに出る」という、理想的なテンションに定めるのが、手術の鍵になります。
多くの人では、理想的な位置に落ち着けることができますが、ときに難しい人がいるんです。
この方は、術後の排尿状態は理想的になったので、予定通りに退院していかれました。
赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科