すいかシリーズその②:四角のすいか。
おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
週末なので、「一週間の骨盤臓器脱手術記録」を書きます。
患者さんを特定できないよう配慮して、数週間前の日常を描写しています。
手術を6例行いました。
この週は、子宮脱膀胱瘤の手術を6例行いました。
ワタクシいつもは、骨盤臓器脱手術を週7例行ってるんですけど、今週は1例キャンセルが出ました。
手術前日の大腸内視鏡検査で、大腸癌が見つかったんです。
遠方にお住いの方だったので、本人と相談した結果、地元の病院で大腸癌手術を受けることになりました。
いずれ落ち着いたら、あらためて骨盤臓器脱手術予約に戻ってきてくださいませ。
癌の検査は必須です。
骨盤臓器脱の手術を行う際には、癌の検査が必須です。
当院で必ず調べているのは、大腸癌・婦人科領域の癌・膀胱癌の3つです。
大腸癌・大腸ポリープ
骨盤臓器脱の術前に、かならず大腸内視鏡検査を行います。
この検査で時々見つかるのは、大腸癌です。
術前大腸内視鏡を行ったら、100人中1人くらいの頻度で、大腸癌が見つかります。
そして良性の大腸ポリープは、しょっちゅう見つかります。
検査した人のうち、2割くらいの人にポリープが見つかっていると思います。
ポリープを放置してると、将来悪性化することがあるので、骨盤臓器脱術後に落ち着いたら切除が必要です。
ということで、骨盤臓器脱術前の大腸内視鏡は必須ということですね。
大腸内視鏡検査は、手術前日に行っています。
このとき観察するのは、大腸の途中まで(直腸と、S状結腸の一部)です。
これなら、大量の下剤(2リットル)を飲む必要がありません。
一番奥(盲腸)まで観察するのであれば、大量の下剤を飲む必要があるけど、これだと患者さんが大変なんですよね。
だから、骨盤臓器脱手術に関係する場所(直腸と、S状結腸の一部)だけチェックするようにしています。
奥の方は見てないので、いずれあらためて検査を受けてくださいませ。
婦人科領域の癌
これは、細胞診検査と、MRI検査で調べます。
進行した子宮癌とか卵巣癌とかが見つかることはまれです。
たまに見つかるのは、「子宮頸部異形成」といって、「正常と子宮頸癌の中間」ともいえる状態ですね。
この場合、婦人科のドクターと相談して、方針を決めます。
膀胱癌
さいごに、膀胱癌のチェックです。
手術中に「臓器損傷チェック」として膀胱鏡を行うので、このとき同時に膀胱癌が無いことをチェックしています。
骨盤臓器脱手術を受ける女性に、膀胱癌が見つかることはまず無いんですけど、過去に1人だけいました。
さいわい初期の癌だったので、後日泌尿器科を紹介して、カメラで切除して(TUR-Btといいます)もらいました。
1900例に到達
わたくし事で恐縮ですが・・・
骨盤臓器脱手術(子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤・膣脱)の経験数が、1900例に到達しました。
すべて術者としての執刀経験数です(直腸脱は約400例)
直近100例では、全員が大きなトラブル無く経過し、だいたい予定通りに退院できていました。
手術は進化し続けています。
直近100例でも、手順のマイナーチェンジを2点行いました。
改良が積み重なった結果、10年前と今では、まったく違うやり方へと進化しています。
「よりシンプルに、より安全に、より再発しない」を追求し続けていきます。
赤木一成
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科